「池波正太郎のそうざい料理帖」

「池波正太郎のそうざい料理帖」

KEI(2021年7月28日)

 この「池波正太郎のそうざい料理帖」(矢吹申彦、平凡社)は古本屋で見つけた。
 内容は池波さんの「食卓の情景」(新潮文庫)、「味と映画の歳時記」(新潮文庫)、「池波正太郎の銀座日記(全)」(新潮文庫)、「食卓のつぶやき」(朝日文庫)、「小説の散歩道」(朝日文芸文庫)といった食日記や食エッセイに書かれている料理について、手順をイラストで再現したものである。そしてそれぞれの料理には3~4頁の池波さんの文章が引用されている。
 料理や食事に関する池波さんのエッセイのほとんど全てを読んだと思っている私にとっては、引用されている文章はとても親しい。引用されている文章の前後まで思い出されるものもある。「小体(こてい)な料理屋」「小鍋だて」「つけ場」などの言葉は池波さんのエッセイで学んだ。
 取り上げられている料理は「あくまで素人でもつくれる江戸・東京風の『そうざい』」とある。とは言うものの、目玉焼きしか作ることができない私には再現は無理だろう。
 このようなことを思いつつ、インターネット検索画面に「池波正太郎 料理」と打ち込んでみた。驚いたことにcookpadには「池波正太郎レシピ」として31品の再現料理が掲載されていた。「池波正太郎先生の〇〇」とか「池波正太郎好み○○」とか「池波流○○」と言った命名だけでなく「剣客風〇〇」「梅安風○○」「鬼平江戸の味○○」もあった。皆さんそれぞれに楽しんでいらっしゃる。
 皆さんが池波さんの料理をこんなに楽しんでいらっしゃるのなら、池波小説のファンが、小説の主人公が活躍した場所を訪れて、そこで蘊蓄を傾け、一献傾けつつ小説の中に描かれた料理を食べる、というテレビ番組があってもいいではないか、と思った。
 調べてみると、時代劇専門チャンネルで2013年から2014年にかけて『池波正太郎の江戸料理帳』全26話が2クールに分けて放映されていたという。池波正太郎ファンが考えることは同じということか。
 放映当時にこの番組を知っていたら、と少し残念に思ったことである。