再びフェルメール
図書館の書棚を眺めていると「挑発の画家 フェルメールの謎と魅力」(西永 裕、秀和システム)が目に付いた。フェルメールがいったい何を挑発しているのか、少し興味を抱き借り出した。
フェルメール作品は数が少ないためか、そこに描かれている窓や地図などのモチーフ、人物やその衣装、さらには消された画面などを手掛かりに一つの物語を紡ぎ出すことができる。このことについては多くの研究者がそれぞれの意見を発表している。
しかし、この本では同じ衣装を着た女性が描かれている二つの絵から一つの物語を私の目の前に提示してくれた。
「兵士と笑う女」は壁に大きな地図がかけられた窓のある部屋で、後ろ向きの兵士と話している手にワイングラスを持った女性が描かれている。「窓辺で手紙を読む女」は一人の女性が窓に向かって立ち手紙を読んでいる。というより読んだ後に手紙の内容を思い返しているように見える。壁には地図はない。この二つの絵それぞれはそれだけで独立した素晴らしい絵である。
特に後者は、私の一番好きなフェルメール作品であり、その絵葉書は写真立に入れて書斎に飾っている。この絵を眺めながら私はいつも彼女が読んでいる手紙は恋文であるに違いない、と理由のない憶測をしている。恋文とすればどのような人物からのだろうかとも考えている。
この二つの絵が描かれた時期は、研究者によってその前後が異なるが、ほとんど同じと考えられている。もし前者が後者の前に描かれていたとしたら、この二つの絵から一つの物語を紡ぎ出すことができると著者は言い一つの仮説を述べる。
前者は、描かれている地図と兵士の衣装から判断して、海外から帰国した兵士が異国での珍しい話あるいは冒険談を女性に話し、ワイン片手の女性はそれを夢中で聞いている。そして後者では再び遥かな異国へ旅立った兵士から来た手紙を読み、相手が今どうしているかと深く考えている、という仮説である。
その他、二つの絵(「取り持ち女」と「眠る女」)に描かれている女性の顔がとてもよく似ていることから一つの物語を考え出すことや壁に掛けられた地図が同じ(「青衣の女」と「兵士と笑う女」)であるのになぜ色が違うのか、などについても楽しい推理を提供してくれる。
この本は、男女の問答形式で書かれた書物であるため読み易く、さらにこの手法はいろんな見方を提示するのに有効だとは思うが若干議論が散漫になっているのは残念である。が、好意的な見方をすれば、読者に自らの感性と知識で考える余地を残してくれたのだろう。
著者が本書で取り上げている異なった絵に同じ衣装が描かれているということやモデルの顔がよく似ているということについては、別の解釈があり、私はその別の解釈が真実だろうと思っているのだが。
このようなことを思いつつ、著者の提示した疑問や解釈を、フェルメール全作品の大判のカラー写真を横に置いてそれを参照しつつ、緊急事態宣言下の雨の一日を過ごしたことである。
フェルメール作品は数が少ないためか、そこに描かれている窓や地図などのモチーフ、人物やその衣装、さらには消された画面などを手掛かりに一つの物語を紡ぎ出すことができる。このことについては多くの研究者がそれぞれの意見を発表している。
しかし、この本では同じ衣装を着た女性が描かれている二つの絵から一つの物語を私の目の前に提示してくれた。
「兵士と笑う女」は壁に大きな地図がかけられた窓のある部屋で、後ろ向きの兵士と話している手にワイングラスを持った女性が描かれている。「窓辺で手紙を読む女」は一人の女性が窓に向かって立ち手紙を読んでいる。というより読んだ後に手紙の内容を思い返しているように見える。壁には地図はない。この二つの絵それぞれはそれだけで独立した素晴らしい絵である。
特に後者は、私の一番好きなフェルメール作品であり、その絵葉書は写真立に入れて書斎に飾っている。この絵を眺めながら私はいつも彼女が読んでいる手紙は恋文であるに違いない、と理由のない憶測をしている。恋文とすればどのような人物からのだろうかとも考えている。
この二つの絵が描かれた時期は、研究者によってその前後が異なるが、ほとんど同じと考えられている。もし前者が後者の前に描かれていたとしたら、この二つの絵から一つの物語を紡ぎ出すことができると著者は言い一つの仮説を述べる。
前者は、描かれている地図と兵士の衣装から判断して、海外から帰国した兵士が異国での珍しい話あるいは冒険談を女性に話し、ワイン片手の女性はそれを夢中で聞いている。そして後者では再び遥かな異国へ旅立った兵士から来た手紙を読み、相手が今どうしているかと深く考えている、という仮説である。
その他、二つの絵(「取り持ち女」と「眠る女」)に描かれている女性の顔がとてもよく似ていることから一つの物語を考え出すことや壁に掛けられた地図が同じ(「青衣の女」と「兵士と笑う女」)であるのになぜ色が違うのか、などについても楽しい推理を提供してくれる。
この本は、男女の問答形式で書かれた書物であるため読み易く、さらにこの手法はいろんな見方を提示するのに有効だとは思うが若干議論が散漫になっているのは残念である。が、好意的な見方をすれば、読者に自らの感性と知識で考える余地を残してくれたのだろう。
著者が本書で取り上げている異なった絵に同じ衣装が描かれているということやモデルの顔がよく似ているということについては、別の解釈があり、私はその別の解釈が真実だろうと思っているのだが。
このようなことを思いつつ、著者の提示した疑問や解釈を、フェルメール全作品の大判のカラー写真を横に置いてそれを参照しつつ、緊急事態宣言下の雨の一日を過ごしたことである。