アリス・マンローによせて

アリス・マンローによせて

M・M(2024年8月14日)

 図書館でマンローに出会った。
 日常のひだを深く細密に書いてあり数行で惹き込まれた。
 私は短篇小説が好きなのでマンローの作品を次々と読むことになる。何故ここまでリアルに表と裏を書きこむことができるのだろう。人生経験が豊か(言葉足らずに言うと)なのだろう。書評に書かれた短文を読むと「人を描く」「人生を描く」「芸術に変える」・・・とある。描かれた作品はどれもが映像で観たくなる内容ばかりに深溜息した。
 ある物語では子どもを主人公に書いてある。その子どもの「しぐさ」「顔の表情」それはそこに書かれてあるのだけれども、確かに私もそう言ったときは、その子どもの気持になると、ひとり共感し唸ってしまう。

 子どもというのは、毎年違った人間になる。一般にそれは秋のまだ学校に行き始めるとき、夏休みのごたごたや無気力を後にして、ひとつ上の学年に入るときだ。子どもが変化をもっとも鮮明に表すのがそのときなのだ。あとは何年とか何月とかはっきりわかるわけではないが変化は同じように続く。長いあいだのうちに過去は簡単に消え去っていき、それは機械的で当然のことのように思えるだろう。過去の光景は消えるというよりはむしろどうでもいいものとなるのだ。それからスイッチバックがある。すっかり終わって片づいていたものが新たに出現し、注意を向けてほしがり、それについてどうにかしてくれと要求しさえするのだ・・・(抜粋)

 私が予備知識もなくマンローの作品に出会ったころは、ノーベル文学賞受賞以前のことで、受賞を知ったとき(2013年)には、うれしかったことを思いだす。下にいくつか作品名を記しておきたい。
「イラクサ」「林檎の木の下で」「小説のように」「ディア・ライフ」「ピアノ・レッスン」ファンの方が多いと思うと幸せになる。
 残念ながらマンローは、本年(2024年5月)92歳で没した。