先入観を修正されて
多くの方に読まれていると思う本だが、こういうのでも私は今頃になって初めて出会って読めた。図書館はすばらしい。
しかし、表紙の内側に折りこまれた「そで」と言われる部分には、“本名ジェイムズ・アルフレッド・ワイト。1916年、イングランド北東部のサンダーランドに生まれるが、生後3週間で引っ越したスコットランドのグラスゴーで育つ…” と、しっかり本名が書いてあるので、少し混乱する。
「あとがき」には、“ジェイムズ・ヘリオットは、現在もまだ活躍中の獣医のペンネームで、その本名は知る由もないが、英国スコットランドのグラスゴーに生まれ育ち…” と書かれている。
しかし、表紙の内側に折りこまれた「そで」と言われる部分には、“本名ジェイムズ・アルフレッド・ワイト。1916年、イングランド北東部のサンダーランドに生まれるが、生後3週間で引っ越したスコットランドのグラスゴーで育つ…” と、しっかり本名が書いてあるので、少し混乱する。
但し、発行は1981年12月で(「あとがき」は同11月に書かれたもの)、私が読んだ本は2008年3月に上巻が14刷、2009年9月に下巻が12刷なので、別に矛盾があるわけでもない。ないが、時々細かいところに目が行く私のために、注釈などを付す工夫が欲しいと苦笑してしまう。例えば、「初版発行当時、著者の本名は明らかではなかった」とするなど。
恥ずかしながら私はこれまで、獣医師というのは主な対象が家庭のペットで、持ち込まれた動物を診察して注射をしたり薬を処方するという漠然とした想像しかしていなかった。
ところが、これに登場する顧客は農場主がほとんどで、猫や犬などの愛玩動物を診てもらいたいという者は皆無に近い。大量に飼われている馬、牛、豚、羊などの病気やケガの往診がすべてといっていいほどの体力仕事で、それも環境の悪い畜舎か牧場で行うのだから、そういう危険で汚れる作業が大の苦手の私をはらはらさせる。
先生宅へ転がりこんだ先生の弟というのも、とんでもない横着な性格と行動で、私は怒りすら感じるのだが、3人はこの本が出た後も協力して獣医の仕事を続けていたというのに感心した(本には、ファーノン先生もこの弟も本名は書かれていない)。
原題「生きとし生けるもの」を、邦訳の題名では「ヘリオット先生奮戦記」としたとあり、なるほど原題はあまりにも対象が広すぎて、書かれていることに合っていない。「原題のままでは、あちらの読者にはすんなりと受け入れられても、こちらの読者にはそうはいかないだろうと判断した」のは分るが、獣医師ヘリオットが一人称で語っているのだから、いくら獣医としての奮闘ぶりが書かれているとはいえ、この邦題は私にはやや安直な気がするのである。
と、どうでもいいことはこのくらいにして、この本は自分が想像していた獣医師のイメージを大きく変えるものだった。
恥ずかしながら私はこれまで、獣医師というのは主な対象が家庭のペットで、持ち込まれた動物を診察して注射をしたり薬を処方するという漠然とした想像しかしていなかった。
ところが、これに登場する顧客は農場主がほとんどで、猫や犬などの愛玩動物を診てもらいたいという者は皆無に近い。大量に飼われている馬、牛、豚、羊などの病気やケガの往診がすべてといっていいほどの体力仕事で、それも環境の悪い畜舎か牧場で行うのだから、そういう危険で汚れる作業が大の苦手の私をはらはらさせる。
ヘリオットが獣医の資格をとった1937年は農業が不振を極めていた頃とあり、幸いにも彼はファーノン先生という獣医師の助手として就職することができたが、この先生の奇人ぶりと忘れっぽさに私はひやひやさせられ、いらいらもするが、どのエピソードも結果的には面白いと思えてしまう。
先生宅へ転がりこんだ先生の弟というのも、とんでもない横着な性格と行動で、私は怒りすら感じるのだが、3人はこの本が出た後も協力して獣医の仕事を続けていたというのに感心した(本には、ファーノン先生もこの弟も本名は書かれていない)。