「フランケンシュタイン」は読んでいない。
この小説を執筆した女性作家「メアリ・シェリー」の人生に興味があった。
そもそも、「フランケンシュタイン」の作者が女性だとは知らなかった。
メアリ・シェリー 「フランケンシュタイン」から共感の共同体へ
シャーロット・ゴードン著 小川公代訳
「フランケンシュタイン」のクリーチャーの後ろに見えてくる、SF/現代ホラーの母の人生を探ってみませんか … 白水社 推薦文
メアリ・シェリー 1797年8月30日英国生まれ(夜の11時20分 父ゴドウィンの日記より)。
生まれて数日後に母を失う。政治思想家の母ウルストンクラフトは娘に多大なる影響を残した。
女性が表にでて、活躍することが困難な時代である。
母が、女性の権利、社会的主義、教育や政治的改革をうったえ、著書を残しているからか、早熟なメアリ・シェリーにその部分がうけつがれていくことがわかる。
後年メアリは、百科事典に著名な男性著述家について論説を書くように依頼(仕事)を受けるのだが、このそれぞれの男性たちの妻、姉妹たち、娘たち、母親たち、恋人たちに必ず言葉をそえている。女性が男性の後ろにかくれることなく、光をあてた。
またメアリは小説で得た収入の中から、身内や困窮する女性たちに援助をして助けている。母の時代とは異なる方法で弱者を救っていた。
メアリは小説や旅行記において、以下のような主張をこめている。
また短編小説では
メアリとメアリの母が重なってみえる箇所である。母の教えに傾倒していくようすがわかる。
強いきずなで結ばれた母娘だ。
さまざまな出会いがあり、経験があり、環境がかわることでメアリが「フランケンシュタイン」を書くことになる。きっかけは・・・きっかけは若い作家の友人たちと、もっとも恐ろしい物語、怪談を書き勝者を決める … 試み。この挑戦の勝者がメアリだ。
学生ヴィクター・フランケンシュタイン、クリーチャー(創造物)…
後年、メアリ自身の改訂版「フランケンシュタイン」(1831年)が出版されている。
時代が自立した女性を認めない中、誰が書いたのか匿名であった著が認められた。
私は怖くて「フランケンシュタイン」関連の本や映画は読んだことも観たこともない。
しかし、この本のテーマの奥深さにおどろいた。多くの負の部分をのりこえて生み出されたメアリの本。
訳者解説の項で紹介されたアラスター・グレイ原作「哀れなるものたち」は本も映画も読了観了。
これは「フランケンシュタイン」を骨子にした作品だった。
英文学研究者は膨大な資料を読みとき、メアリを浮かび上がらせている。読み手の胸が救われる素晴らしい内容である。