しかし、重なり合う人々の思惑困惑で世に出てしまった。
その当時にもっと早く刊行されていれば、世紀の大ベストセラーだったかも・・・と言う。
逆もしかり。
その本(戯曲)を読んでみる。
新訳ベケット戯曲全集4「エレウテリア」
まず、ベケットの作品は代表作の「ゴドーを待ちながら」しか知らない。
これは、演劇の舞台、映画の作品の劇中劇で鑑賞したことはある。
日本の現代演劇、世界中の演劇と、あまりにも有名な作品だ。
米国の出版社B社のトップになったB氏が、B出版社を解雇される。
B氏は捏造してまでも「エレウテリア」の版権を獲得して、世にだそうとする。
仏国の出版社でベケットの作品を長年刊行していたJ氏はこのB氏の要望を拒否する。
J氏はベケットの遺産継承者とつながっているので、丁重に要望に応じることができないと伝える。
新訳で上演を決めたりと先手をうち、食い下がるB氏。そのつど許可を拒否するJ氏。
正規の力関係においてはJ氏の他にいない。
中略・・・結局B氏はメディアと組んで出版の計画を押し進める。J氏が法的手段に訴える様なら … と騒ぎ立てるB氏。最終的にオリジナルの言語で作品を出版する必要にせまられたJ氏。J氏とベケットの信頼関係を守るため。また、この作品「エレウテリア」を守るために。以下 はしがきより
場所 … パリ、時 … 冬の連続する3日間の午後
登場人物 … 父母、その息子V、父母の友人、博士、母の妹、息子Vの婚約者、ガラス屋、その息子M、観客、拷問人、息子の宿の大家、父母の使用人、使用人の婚約者、母の妹の運転手、ボディーガード
ガラス屋が劇の終わりに言ったセリフが笑える。
この作品の「自由」とは …。本当の自由には決まりやある種のワクがあるのではと思う。その内で自分で自由を感じなくては。その息子Vは「わからない」と言う。ガラス屋とその息子Vのセリフを延々と続けると何周まわってもお手上げだ。ガラス屋の息子Mは病気なので、用事が終われば急いで家に帰らなくてはならない。時間の流れや空気感が異なっている。
ベケットの意ではなかったと思うが、さらには舞台が上演されたなら観に行きたいと思う。
ガラス屋は誰が演じるだろうか。