推理小説のマナーというもの
以前に書きました“シーラッハの「刑罰」”の最後に、その本の訳者の名前で図書館の蔵書を検索してヒットした中から選んだ1冊をとりあげ、この選択方法がどう出たかを次の機会に書きますと言っておりました。
ネタバレとなることを最初にお断りした上でと考えておりましたが、対象が推理小説なので分かりにくくはなりますが、書名を明らかにしないで書いています。
私がこれまで弁護士物の小説を読んだ中では、被告である依頼人が無実であったというのが大多数で、無罪を勝ち取ったものの、実際は犯罪を犯していたという結末のものも僅かですがありました。
後者の場合でも、違和感のあったのは覚えがありません。意表を突かれるような終わり方になったとしても、被告の描かれ方に不自然さを感じなかったのです。
選択した1冊は、最初から最後まで被告の精神状態に問題があるような書き方はされていました。被告が無実なのかそうではないのかを最後まで曖昧にしておくための当然の工夫だと思いながら読みました。
しかし、この小説のヒロインである弁護士の初恋の相手がこの被告で、彼らはしばらくの期間一緒に生活した過去があると書かれています。被告の精神面が疑わしいように描かれているとはいえ、こういう過去は、被告に不利な状況や証拠がいくら出てこようとも、いずれは被告が無実という結末なのだなと読者に予想させても仕方がないように思います。
この小説は、真相が明らかになっていく流れも鮮やかとは感じられず、著者が意図したほどスリリングな場面でもないようなクライマックスを経て終わってしまいます。
末尾の評はこの作品の説明と賛辞が多すぎました。評の最後に「この弁護士を主役にしたシリーズの2作目が刊行予定なので、先ずはシリーズの幕開けである本書を手にとってみて欲しい」と書かれているのですが、書評を先にチェックする者向けの単なる広告としか見えません。
「被告が実際にこの犯罪を犯したような展開が続くけれど、かつて弁護士がこの被告と同居していたという過去がある限り、結局は無実なのだな」と、読者が自然に抱くであろう予断を与えておいて、それを覆すのが著者の狙いだったとしたら、はっきり言って問題のある設定で、間抜けな弁護士を書いただけとしか思えなかったのです。
ネタバレとなることを最初にお断りした上でと考えておりましたが、対象が推理小説なので分かりにくくはなりますが、書名を明らかにしないで書いています。
私がこれまで弁護士物の小説を読んだ中では、被告である依頼人が無実であったというのが大多数で、無罪を勝ち取ったものの、実際は犯罪を犯していたという結末のものも僅かですがありました。
後者の場合でも、違和感のあったのは覚えがありません。意表を突かれるような終わり方になったとしても、被告の描かれ方に不自然さを感じなかったのです。
選択した1冊は、最初から最後まで被告の精神状態に問題があるような書き方はされていました。被告が無実なのかそうではないのかを最後まで曖昧にしておくための当然の工夫だと思いながら読みました。
しかし、この小説のヒロインである弁護士の初恋の相手がこの被告で、彼らはしばらくの期間一緒に生活した過去があると書かれています。被告の精神面が疑わしいように描かれているとはいえ、こういう過去は、被告に不利な状況や証拠がいくら出てこようとも、いずれは被告が無実という結末なのだなと読者に予想させても仕方がないように思います。
この小説は、真相が明らかになっていく流れも鮮やかとは感じられず、著者が意図したほどスリリングな場面でもないようなクライマックスを経て終わってしまいます。
末尾の評はこの作品の説明と賛辞が多すぎました。評の最後に「この弁護士を主役にしたシリーズの2作目が刊行予定なので、先ずはシリーズの幕開けである本書を手にとってみて欲しい」と書かれているのですが、書評を先にチェックする者向けの単なる広告としか見えません。
「被告が実際にこの犯罪を犯したような展開が続くけれど、かつて弁護士がこの被告と同居していたという過去がある限り、結局は無実なのだな」と、読者が自然に抱くであろう予断を与えておいて、それを覆すのが著者の狙いだったとしたら、はっきり言って問題のある設定で、間抜けな弁護士を書いただけとしか思えなかったのです。