司書さんとレファレンス・サービス

司書さんとレファレンス・サービス

KEI(2015年10月14日)

 文部科学省のホームページでは、司書さんについて「司書は、都道府県や市町村の公共図書館等で図書館資料の選択、発注及び受け入れから、分類、目録作成、貸出業務、読書案内などを行う専門的職員です」と説明している。
 今まで、図書や資料の検索で司書さんのお世話になったことはなかったが、先日初めてその手を煩わせた。自分で調べるべき程度のことであり自分で調べようと思っていたが、孫も連れず1人で場違いな児童書の部屋でキョロキョロしている老人を気にされたのか、たまたま年配の司書さんと目があったのでお願いしたという訳である。
 私が場違いな場所にいた理由は、「ピーターラビット」シリーズの著者であるビアトリクス・ポターとナショナル・トラスト運動の関わりについて、小学5年生に理解できる程度の説明が上手くなされた本を探そう、というものだった。
 司書さんは「ポターの伝記中に書かれているのでは」と、蔵書にあるポターの伝記数冊とポターを含む20世紀に活躍した女性についての子供向け書物をリストアップして下さった。私はナショナル・トラスト運動やその歴史から調べようと思っていたが、丁寧に書かれた子供向けのポターの伝記の中できっと説明されている筈だ、という極めて簡単かつ素直な答に直ぐに思いが至らなかったのは不覚だった。
 このことがあって、唐突に、高校生の頃に知ったアメリカの図書館で行われているレファレンス・サービスという言葉を思い出した。詳しい定義は知らなかったが、漠然と図書館での「調べ物の手伝い」をするような意味、それも専門的な問題についての調査協力のように思っていた。そのときはアメリカでは便利なサービスがあるのだなあ、という程度の認識だった。この頃の私は、たまに行く図書館で、あまり充実していない内容の図書カードを繰っていた。
 インターネット全盛の現代では、得られる情報は玉石混交ながら、書斎のパソコンが種々のレファレンスの助けをしてくれる。
 しかし、このような時代にあっても司書さんによるインターネットを超えた、あるいはインターネットとは別次元のレファレンスに関する業務は、図書館の利用者から期待され続けるだろう。そして、その内容は、図書館の性格、図書館の存在意義等から自ずと決まってくるのではないだろうか。一介の図書館利用者に過ぎない私であるが、このように感じている。
 耳をそばだたせている訳ではないが、聞こえてくる老若男女の種々雑多な質問に、いろいろと調べ丁寧に答えていらっしゃる我が市の中央図書館とその分館の司書さん達に心からのエールを送る。