ツバメがやってくる図書館

ツバメがやってくる図書館

T・H(2016年6月29日)

 大津市立和邇図書館に通い始めて数年になる。
 五月のこの時期、本の楽しみに加えて私の心が躍るのが「ツバメ」を見ることである。駐車場から図書館入り口に歩みを進める時、玄関にいる人が上を眺めているとワクワクしてくる。
「あっ。今日は、ツバメが巣にいるんだ」
 お父さんらしい人と上を眺めて話している子どももいる。何ともほほえましい。
 カメラのレンズを天井に向けている人もいる。写真を撮り終えるのをしばし待つ。
 誰が作られたか、ツバメの糞を始末する箱には、びっしりと糞が着いている。予想以上の数が来ているのだろうと想像する。
 このツバメたちは、春になると、長い旅をして南の国から渡ってくる。しかし近年、ツバメは減少しているといわれている。 ツバメは古くから里山の自然の中で生きてきた、人と自然との共存を象徴する野鳥である。ツバメが姿を消すとき、それは私たちにとっても懐かしい風景も消える時なのだともわれている。
 以前の職場にも、やはりツバメがやってきた。いくつもの巣を作って、みなの人気者だった。ところが、ある日、その巣の中にどうしたものかスズメが入り込み、それによってツバメは追いやられた。また、違う巣の中にヘビが入り込み、幼い雛をとってしまった。こういうことが続いた次の年から、ツバメはこなくなった。空を舞っているツバメがいると、巣を作ってねと願うけど、とうとう巣は作ることはなくて、以前の巣のかけらが天井にくっついていた。
 和邇図書館のツバメは、こんな悲しい思いをしないで、ずっと来て欲しいと思う。
 ところで、日本野鳥の会は、 ツバメの子育て状況調査を続けている。ツバメの巣と子育てを観察し、何羽のヒナが巣立ったか、どのような原因で失敗したのか、広く情報を集めて、ツバメの子育ての現状をくわしく知るための調査だという。和邇館の近くに住んでいたら、ツバメの巣を観察してこの調査に参加するのになぁと思う。
 そこまでのことはできなくても、和邇館に「ツバメが来たよノート」を置いて欲しいと願うのだが。図書館に来た日を記し、その時のツバメがどんな様子だったかをメモするノートだ。気がついた人が、簡単に書けばいい。子どもの観察の目、大人の観察の目、それぞれの視点でツバメを見て記していくノートだ。
 ノートでなくても、B紙を一枚壁にはって気がついたことを記すだけでもいい。
 図書館は、地域の特色が出ていいと私は思っている。ツバメがやってくる図書館は珍しいのではないだろうか。そして、この時期、「おすすめの本」にツバメ特集だって組むことができよう。
 今年もそろそろ巣立ちの季節になる。私のこの企画をどうしたら取り上げてもらえるか、画策している間に季節は流れてきた。
 一市民の声をどうにかして届けたい。もし、必要なら、観察支援もやりたいなと思う。来年こそは……。