図書館の書庫

図書館の書庫

KEI(2016年7月6日)

 当市の図書館のホームページを眺めていて偶然に「書庫散策ツアー『ちょっと書庫まで』」が計画されているのを知った。いま流行のバックヤード・ツアーの一種だろうと思い、指定された時刻の少し前に受付窓口へ行った。
 一番乗りだったが、参加者は男3名、女1名の4名と予想外に少なかった。担当の女性司書は、書庫は図書館建物の3階部分と4階部分を3層にして使っていること、書籍は自由に取り出していいが、必ず元の場所に戻すこと、戻す場所が分からなくなれば、書庫に出入りしている係員の誰にでも渡すこと、もし借り出したい本があれば、持ち出して手続きをすること、など基本的な注意事項を簡単に話し、我々を急な階段を使って書庫に案内してくれた。
 これからいろいろと説明しながら書庫の全体を案内してくれるのだろうと期待していたが、「後はどうぞご自由に」ということなので、私は、書庫の端から端までゆっくりと背表紙を眺めつつ、歩き始めた。
 移動式というか電動式の書棚が整然と並んでいるのだろうと思っていたが、予算の都合もあるのか、旧態依然とした書架であるのには、少し驚いた。この書架と書架の間隔は、これ以上は狭くすることができないほど狭く、一部の書架では、我が家の書庫の本棚と同じように二重に本が並べられていた。二重に本を並べるのは、我が書庫の本棚と同じだと喜んだが、さすがにプロ、前列の書物は横にして並べられていた。こうすれば後列の本の題名の一部を読むことができる。
 書架の一番下、足元近くの段に並べられた本の題名を眺めるのは、体が硬くなっていることもあり無理だった。
 紙面が茶色に変色しているような本や丁寧に扱わないと破れそうな、あるいは背表紙が取れそうな本が近年に発行された本の間にしっかりと保存されているのを見るとなんとなく感動し、意味もなく手に取りページを繰った。
 動物関係の書物が並んだ中に「動物からみた邪馬台国」(という表題だったと思う)という本が並んでいたり、私も所有している文科系の学者が書いた知的生産に関する本がコンピュータ・ソフト関係の本の間にあったりしたのは日本十進分類法に従っているのだろうが、「へえー」と思ったことだった。
 女性の参加者は、デザインの専門書らしき書物を3冊ほど手元に置き、階段に座り込んで読んでいた。男性の1人は手元のメモを見ながら本を探していた。もう1人の男性は、さーっと本棚を眺めて、帰って行ったようだ。
 私は、時間一杯書庫の中で書架の間をぶらぶらと歩きながら、本の顔を眺めて過ごした。私が所有している本や関心を持っているテーマに関係する書籍があると目に飛び込んでくるのは、何度も古本屋で経験しているが、ある意味で愉快なことであった。
 数年前に開館した、我が家からかなりの距離にある本館よりも立派な分館では、きっと機械仕掛けの新しい書架が導入されているだろう。しかし、古い書架が、狭い場所でもうこれ以上は入らない状態で、数多くの本を保管してくれているのもいいではないか、と若干の負け惜しみを抱きつつ書庫を出た。