図書館見てある記(2)

図書館見てある記(2)

けふばあちゃん(2016年8月17日)

 高月町立図書館(現長浜市立高月図書館)
 八日市図書館見学の日、膳所駅に着いてから忘れものに気が付き、慌てて引っ返す。
「近江鉄道ホームでお待ちします」と、わざわざ前日にメールしたのに、「ごめん、Uさん後はお願い!」と車で名神をとばす。
 …こんなことが以前にもあったなぁ。20数年前、高月町立図書館を見学する日。
「けふさん、大津駅で乗るのは一人だけれど、大丈夫?8時○分発、長浜行だからね。遅れないでね」と仲間から電話をもらっていたので、当日は早くに用意をして、玄関を出る。
 ご近所さんが、「あらっ、けふさん、早いねぇ。お出かけ。ついでに乗っていったら」と大津駅まで送ってくださる。お陰でホームに早く着き過ぎて、本を読んで待つ。幾度か時計を見ながら、「まだだなぁ。これ違う、この次の次」と電車をやり過ごす。そのうち、本の世界に入りこんでしまって、はっと気が付いて、掲示板を見上げれば、なんと予定の電車は行ってしまっていた。携帯電話もない頃、あわてて切符を払い戻し、家までタクシーで帰ってそのままガレージへ。車を出して名神を走らせ、……。高月町立図書館に着いてみれば、文庫連の仲間は誰もいない。明定館長さん、「なんでもお一人遅れられたそうで、一電車遅らせたそうですよ。先程お電話いただきました」
あちゃぁー!!と、わたし…。
 高月図書館も八日市とはまた一味違った地域に根差した図書館だった。
 八日市では、大きなココゴリラが迎えてくれるが、高月ではネコバスが書架の上から「ようこそ、ようこそ!」
 20年前、滋賀の図書館にはめずらしく、漫画のある図書館ということで賛否両論にさらされている頃だった。見学して思ったのは、「漫画もきちんと選ばれておかれている、単なる人寄せパンダではない」ということだった。この館の特徴は、学校図書館・幼保・小中学校など教育機関との連携、教材資料の提供…成長途中にある子どもたちの好奇心をくすぐり、如何に知的好奇心へ、自己問題解決の方向に導くか、そういう姿勢の図書館だった。図書館にやってくるのが一番少ないと言われる年代の中高校生が出入りし…二階には、壁に穴の開いているところもあった。どういう人とも真摯に向き合われる館長の姿に、きっとあの子たちにもここが“自分のいていいところ、安心な場所なんだなぁ”とひそかに思ったものだった。
 その後、観音の里めぐりのついでに立ち寄ると、「仮設の会」のメンバーでもいらっしゃる明定館長にかがくあそびや切り絵など、文庫に役立つ資料を教えていただいたりした。
 井上靖の「星と祭」の舞台となった十一面観音の里。近くに歴史資料館もあるが、図書館の中には井上靖記念館も併設されていた。郷土を大切に思い、それを次世代へとつないでいく、その橋渡しの役割をも担っていらっしゃるようにも感じた。
 館長の定年退職前に町村合併となり、高月は恵まれていたけれど…とおっしゃっていたが、その後の図書館を見ていなくて、どうなったか?きっと、次世代の司書さんたちが館長や地域の思いをつないでいらっしゃることと思う。