いろいろ大変だなあ
私はあまり意識したことはなかったが、新聞記事などから推測すると、図書館では個人情報やプライバシー保護の観点からいろいろと考え、問題が起こらないように留意されているようだ。
誰の言葉だったか「本棚を見ればその人間が分かる」との趣旨の文章を読んだことがある。この言葉が正しいかどうかは別にして、どのような書物を読んでいるか、どのような書物に関心を抱いているかを知られたくない人もいることは容易に想像できる。
あるとき、ラトビアに関し何年か前に読んだ書物の記述について正確に知りたくなった。この本は市立図書館から借り出したこと、図書館では旅行案内の書物に隣接した位置に置かれていたこと、ブルーと白のハードカバーで書名には、バルトという言葉とともに風、光、陰といったような一字の単語が含まれていたこと、程度は覚えていた。著者は私にとっては初めての名前であったこともあり、残念ながら全く記憶していなかった。
この本は、中央図書館か駅前のビルにある分館のいずれかから借り出したという確信があったので、その二つを訪問し、書棚を丁寧に眺めたが見つからない。図書館の図書検索ツールを使い、思いつく幾つかのキーワードで探そうと試みたがそれも不調。
そのとき、「そうだ、私の借り出し記録に残っているはずだ。本人だから調べて貰えるかも分からない」と思い付いた。ただ、個人情報やプライバシーの保護あるいは図書館の自由に関する宣言その他の理由で断られるかも分からない、との考えが一瞬頭の片隅をよぎった。断られたら仕方がないが、本人が本人の情報を知ろうとするのだから、例外とされているかも分からない、と思いつつ図書借り出しカードに私の身分証明書を添えて窓口の司書さんにお願いした。
すると、私にとっては、思いもかけない答が返ってきた。「当館では、貸出記録は図書が返却された時点で全て抹消しています」
「なるほど、なるほど」。これなら、いろんなところからの、いらぬ詮索を受けることもなく、トラブル発生の可能性もない。
当市の図書館ではつい4~5ヶ月前に新しいシステムが導入され、書架に置かれている書物は自分で借り出し手続きをすることができるようになった。設置された機械に借り出すべき書物を置き、図書カードを機械にかざし、画面をタッチすると、書名と返却期限が記載された紙片が出てきてそれで手続きは終わり、というシステムである。返却は、窓口前に設置された箱に一冊ずつ投入すればよい。借り出し・返却に際し誰とも一言も言葉を交わす必要はない。味気ないと言えば味気ない、便利だと言えば便利、これも進歩の一つか。
事務の合理化、経費削減その他どのような狙い・目的・理由でこの手続きを採用することになったのかは、長い間のサラリーマン生活の習慣から気になるが、調べるつもりは無い。このシステムの採用により結果的には、図書館は個人情報、プライバシーなどを理由とする問題からは解放されることになるだろう。「いろいろ大変だなあ」とは老人の独り言である。 「本探しはどうなったか」ですって。最終的には、パソコンを前にいつも閲覧者の相談に乗っていらっしゃる年配の司書さんのかなりの時間を割いた助けを借りて、無事に探し出すことができたのでした。めでたし、めでたし。
誰の言葉だったか「本棚を見ればその人間が分かる」との趣旨の文章を読んだことがある。この言葉が正しいかどうかは別にして、どのような書物を読んでいるか、どのような書物に関心を抱いているかを知られたくない人もいることは容易に想像できる。
あるとき、ラトビアに関し何年か前に読んだ書物の記述について正確に知りたくなった。この本は市立図書館から借り出したこと、図書館では旅行案内の書物に隣接した位置に置かれていたこと、ブルーと白のハードカバーで書名には、バルトという言葉とともに風、光、陰といったような一字の単語が含まれていたこと、程度は覚えていた。著者は私にとっては初めての名前であったこともあり、残念ながら全く記憶していなかった。
この本は、中央図書館か駅前のビルにある分館のいずれかから借り出したという確信があったので、その二つを訪問し、書棚を丁寧に眺めたが見つからない。図書館の図書検索ツールを使い、思いつく幾つかのキーワードで探そうと試みたがそれも不調。
そのとき、「そうだ、私の借り出し記録に残っているはずだ。本人だから調べて貰えるかも分からない」と思い付いた。ただ、個人情報やプライバシーの保護あるいは図書館の自由に関する宣言その他の理由で断られるかも分からない、との考えが一瞬頭の片隅をよぎった。断られたら仕方がないが、本人が本人の情報を知ろうとするのだから、例外とされているかも分からない、と思いつつ図書借り出しカードに私の身分証明書を添えて窓口の司書さんにお願いした。
すると、私にとっては、思いもかけない答が返ってきた。「当館では、貸出記録は図書が返却された時点で全て抹消しています」
「なるほど、なるほど」。これなら、いろんなところからの、いらぬ詮索を受けることもなく、トラブル発生の可能性もない。
当市の図書館ではつい4~5ヶ月前に新しいシステムが導入され、書架に置かれている書物は自分で借り出し手続きをすることができるようになった。設置された機械に借り出すべき書物を置き、図書カードを機械にかざし、画面をタッチすると、書名と返却期限が記載された紙片が出てきてそれで手続きは終わり、というシステムである。返却は、窓口前に設置された箱に一冊ずつ投入すればよい。借り出し・返却に際し誰とも一言も言葉を交わす必要はない。味気ないと言えば味気ない、便利だと言えば便利、これも進歩の一つか。
事務の合理化、経費削減その他どのような狙い・目的・理由でこの手続きを採用することになったのかは、長い間のサラリーマン生活の習慣から気になるが、調べるつもりは無い。このシステムの採用により結果的には、図書館は個人情報、プライバシーなどを理由とする問題からは解放されることになるだろう。「いろいろ大変だなあ」とは老人の独り言である。 「本探しはどうなったか」ですって。最終的には、パソコンを前にいつも閲覧者の相談に乗っていらっしゃる年配の司書さんのかなりの時間を割いた助けを借りて、無事に探し出すことができたのでした。めでたし、めでたし。