「知的生活」
かつて「知的○○」や「○○の品格」というタイトルの書籍が数多く発行され、よく読まれた。私も「知的生活の方法」「続・知的生活の方法」(いずれも渡部昇一、講談社現代新書)や「国家の品格」(藤原正彦、新潮新書)からは多くの示唆を得た。
ここで取り上げた P,G ハマトンの「知的生活」(講談社)は原題を The Intellectual Life といい、英語のタイトルをそのまま素直に日本語に訳したものである。手元にあるのは 1979 年発行の第2刷であり、あとがきで訳者の一人である渡部氏は自らと The Intellectual Life との関わりやハマトンの生涯について詳しく書いている。
この本には、この本を紹介する「小さな活字の赤茶けた4× 6.5 ㎝大の新聞記事切り抜き」が挟まっていた。いつの記事かはメモされていないが、一部に私が赤のボールペンでサイドラインを引いている。そこには、次のようなことが書かれていた。
ここで取り上げた P,G ハマトンの「知的生活」(講談社)は原題を The Intellectual Life といい、英語のタイトルをそのまま素直に日本語に訳したものである。手元にあるのは 1979 年発行の第2刷であり、あとがきで訳者の一人である渡部氏は自らと The Intellectual Life との関わりやハマトンの生涯について詳しく書いている。
この本には、この本を紹介する「小さな活字の赤茶けた4× 6.5 ㎝大の新聞記事切り抜き」が挟まっていた。いつの記事かはメモされていないが、一部に私が赤のボールペンでサイドラインを引いている。そこには、次のようなことが書かれていた。
知的生活を目指す人にとって最も重要な問題の一つは、「時間の節約」である。それには、何かを学んだり、行ったりする時は「必ず完全にモノにするのだ」という強い気持ちをもって臨むことが必要だ。そして、もしどうにもならない限界がみえた時は、いさぎよくそれを認めることだ。
小さな活字で組まれた菊版418頁の本を再読することは諦め、6頁に亘り細かく書かれた目次を眺め、何十年か前に私が栞を挟んだ「肉体の運動を怠った学生へ」の項と「将来の職業をまだ決めていない有能な教養のある紳士へ」の項とその他の幾つかを再読した。
いわゆるハウツウ本とは異なり、実在する人物を念頭に置き、淡々と書かれたこの本には空疎な議論はないように思われる。また、訳者は「その文章は全て切実な実体験を踏まえている」と書いているが、内容から判断しその通りだろうと思ったことである。
訳文がこなれているのには改めて感心した。
この本のほんの一部(これは洒落ではない)を再読しながらかつて読み覚えているある文章を思い出した。そこには「歳を取ってからも読書を続けようと思うなら、文庫本ではなく装丁のしっかりした本を集める必要がある。歳を取ってからでは文庫本などは読めたものではない」という趣旨が書かれていた。もっともだと思いながら、そのような本を集めたのだが、活字の大きさにまで思いが至らなかったのは、少し残念である。
いわゆるハウツウ本とは異なり、実在する人物を念頭に置き、淡々と書かれたこの本には空疎な議論はないように思われる。また、訳者は「その文章は全て切実な実体験を踏まえている」と書いているが、内容から判断しその通りだろうと思ったことである。
訳文がこなれているのには改めて感心した。
この本のほんの一部(これは洒落ではない)を再読しながらかつて読み覚えているある文章を思い出した。そこには「歳を取ってからも読書を続けようと思うなら、文庫本ではなく装丁のしっかりした本を集める必要がある。歳を取ってからでは文庫本などは読めたものではない」という趣旨が書かれていた。もっともだと思いながら、そのような本を集めたのだが、活字の大きさにまで思いが至らなかったのは、少し残念である。