読書に関する世論調査

読書に関する世論調査

啓(2023年5月24日)

 文化庁では平成7年度以降毎年全国の 16 歳以上の男女を対象に「国語に関する世論調査」を実施している。その目的は「日本人の国語に関する意識や理解の現状について調査し,国語施策の立案に資するとともに,国民の国語に関する興味・関心を喚起する」ことにあるという。
 平成 30 年度の調査では、調査項目の一つとして「読書について」があった。そこでは「①1ヶ月に大体何冊くらい本を読むか」「②人が最も読書すべき時期はいつ頃だと考えるか」「③読書量は、以前に比べて減っているか、それとも、増えているか」「④読書をすることの良いところは何だと思うか」「⑤自分の読書量を増やしたいと思うか」「⑥ふだん,電子書籍を利用しているか」の6問について聞いている。
 私の関心は①と③にあったので、その調査結果の概要を書き記す。
 1ヶ月の読書量としては「読まない」が 47.3 %,「1、2冊」が 37.6 %,「3、4冊」が 8.6 %,「5、6冊」と「7冊以上」がそれぞれ 3.2 %となっている。この数字は、過去の調査結果(平成 20 25 年度)と比較しても,余り変化は見られないそうだ。
 文化庁は「1冊以上読むと答えた人の割合が 52.6 %である」としているが、逆に1冊も読まない人が約半数いるとは、私にとってちょっと衝撃的だった。
 以前と比べての読書量の増減については、減っているが 67.3 %,それほど変わっていないが 24.3 %,増えているが 7.1 %となっており、この点に関しては過去の調査結果との比較では「読書量は減っている」は増加傾向にあるという。
 この調査結果をどのように考えるか。
IT 技術が進化した現代では情報自体またそれを入手する方法が大きく変化・変貌・変容している、この結果として読書量の減少は時代の流れである」と考えるのは、読書をしていない人たちに対してあまりにも寛容な態度だろうか。「本離れ」は時代の流れとしてある程度は当然のことと考えるのは時代迎合の態度だろうか。
 このように考えつつも読書文化が廃れるのは残念であるとの思いが強い。私は読書文化の質的向上を願っているが、さてその方策については残念ながら今のところこれといった意見はない。
 ここで、私がかつて読み記憶している大読書家の「元来、読書は『得意の人』『順風満帆の人』『悩みのない人』のすることではないようで、読書には『退隠の気配』『失意の情』がよく似合う」という若干皮肉が込められた趣旨の言葉からすると、現代は「得意の人の時代」「幸せな時代」ということになるのだが。