天使の序列
どこで読んだのだろうか、天使の序列について書かれた文章を記憶している。記憶を辿るとそこには「ヨーロッパ絵画で多く描かれているものの一つに天使があげられる。代表的なものとしては『受胎告知』の大天使ガブリエルであろう」とあり、ここから天使たちのヒエラルキーに話が及ぶ。
そして西洋の学者の書物を引用し「大天使といっても位は低い。軍隊でいえば軍曹、相撲番付では十両か、会社でいえば係長クラスなのだろう」とあったことを覚えている。
残念ながら引用されていた文献のタイトルやその筆者の名前も全く記憶していない。ただ、そのとき私は「ユネスコの世界遺産になっているフランス・モンサンミシェルの聖堂の塔の先端にはミカエルの像が取り付けられているが、ミカエルも大天使だなあ」と考えていた。
思い出したこの話を契機として暇つぶしに天使の序列についてちょっと調べてみようと思った。もちろん興味本位である。キリスト教について全く知識のない私であるから、とっかかりとしてグーグルの検索欄に試みに「天使の序列」と打ち込んだ。
そこにはいろんな情報に交じって「天上位階論」という書物について触れた一文があった。なんとなくこの本が目的の本のような気がして、この言葉で市立図書館の蔵書を検索した。「中世思想原典集成3 後期ギリシア教父・ビザンティン思想」(上智大学中世思想研究所、平凡社)1冊だけがヒットした。全 20 巻の全集の中の一冊である。
タイトルからして私にはチンプンカンプンだったが、借り出したこの本は厚さ 5.5 ㎝、975頁の堂々たるものだった。目次を眺めていくとディオニュシオス・アレオパギテス著の「天上位階論」があった。
この「天上位階論」について訳者である今 義博山梨大学教育学部助教授(当時)が前文で解説されている。そこでは、著者ディオニュシオス・アレオパギテスやその著作「天上位階論」について
そして西洋の学者の書物を引用し「大天使といっても位は低い。軍隊でいえば軍曹、相撲番付では十両か、会社でいえば係長クラスなのだろう」とあったことを覚えている。
残念ながら引用されていた文献のタイトルやその筆者の名前も全く記憶していない。ただ、そのとき私は「ユネスコの世界遺産になっているフランス・モンサンミシェルの聖堂の塔の先端にはミカエルの像が取り付けられているが、ミカエルも大天使だなあ」と考えていた。
思い出したこの話を契機として暇つぶしに天使の序列についてちょっと調べてみようと思った。もちろん興味本位である。キリスト教について全く知識のない私であるから、とっかかりとしてグーグルの検索欄に試みに「天使の序列」と打ち込んだ。
そこにはいろんな情報に交じって「天上位階論」という書物について触れた一文があった。なんとなくこの本が目的の本のような気がして、この言葉で市立図書館の蔵書を検索した。「中世思想原典集成3 後期ギリシア教父・ビザンティン思想」(上智大学中世思想研究所、平凡社)1冊だけがヒットした。全 20 巻の全集の中の一冊である。
タイトルからして私にはチンプンカンプンだったが、借り出したこの本は厚さ 5.5 ㎝、975頁の堂々たるものだった。目次を眺めていくとディオニュシオス・アレオパギテス著の「天上位階論」があった。
この「天上位階論」について訳者である今 義博山梨大学教育学部助教授(当時)が前文で解説されている。そこでは、著者ディオニュシオス・アレオパギテスやその著作「天上位階論」について
- 著者はパウロに従い信仰に入った人物であり、その著書は「ディオニュシオス文書」と呼ばれ、キリスト教関係の文書のなかで「聖書に次ぐ権威」を持っていた。
- しかし、 19 世紀末から 20 世紀初頭にかけてなされた実証的な研究によってこれら文書は紀元 500 年頃に書かれたものであることが確証された。しかし、現時点では、真の著者が誰であるかということが確定されていないためその著者を「偽ディオニュシオス』と呼んでいる。
- 「天上位階論」は天使の秩序組織と機能を体系的に解説したものである。
- 天使は、上位、中位、下位の三階級に分けられ、各階級が三隊に分けられている。最上位の階級には熾天使(してんし)、智天使(ちてんし)、座天使(ざてんし)が属し、中位の階級には主天使(しゅてんし)、力天使(りきてんし)、能天使(のうてんし)が属し、最下位の階級には権天使(けんてんし)、大天使、天使が属している。(私には天使が9つに分類されているということ以外には全く理解できない)
- 最下位の知性が特に「天使」と呼ばれるのは、その階級の知性がわれわれ人間に最も近い位置にいて神の神秘をわれわれに伝達する働きが、われわれの方から見るときにまさに「使者」としての働きであるからである。
と説明している。
私が、その意味するところはともかく、言葉として理解できたような気がしたのを纏めるとこのようになる。
解説を読んだ後に、60頁強の本文と格闘したのだが、当然のことながらあえなく轟沈。
今回テーマとした「天使の序列」問題は何となく分かったこととして、手にしたこの本に関して図書館の役割の観点から一つ気の付いたことがある。
この分野を専門とする学者以外には絶対に売れないと思われるこのような本が出版されるということは、とても素晴らしく大切なことではあるが、採算を考えた場合、出版社は出版には二の足を踏むだろう。出版社に出版を決意させたのは、文化を育成する、学問の進歩に貢献するという心意気を補完する何があったのだろう。
それは大学図書館を始め全国の図書館が購入してくれればある程度は売れて、儲けは少ないかもしれないが、採算は取れると期待してのことだろうか。あるいは出版に関して何らかの学術的な補助金の交付が関係者に対してあったのだろうか。
この全集を保有している当市の図書館はどのような経緯でこの図書を入手したのだろう。購入したのか寄贈を受けたのか、いずれにしてもこの全集を蔵書の一部として保有している当市の図書館に拍手をしたい。
ここにも文化を育てるという公共図書館の役割があるのではないか、と思ったことである。
私が、その意味するところはともかく、言葉として理解できたような気がしたのを纏めるとこのようになる。
解説を読んだ後に、60頁強の本文と格闘したのだが、当然のことながらあえなく轟沈。
今回テーマとした「天使の序列」問題は何となく分かったこととして、手にしたこの本に関して図書館の役割の観点から一つ気の付いたことがある。
この分野を専門とする学者以外には絶対に売れないと思われるこのような本が出版されるということは、とても素晴らしく大切なことではあるが、採算を考えた場合、出版社は出版には二の足を踏むだろう。出版社に出版を決意させたのは、文化を育成する、学問の進歩に貢献するという心意気を補完する何があったのだろう。
それは大学図書館を始め全国の図書館が購入してくれればある程度は売れて、儲けは少ないかもしれないが、採算は取れると期待してのことだろうか。あるいは出版に関して何らかの学術的な補助金の交付が関係者に対してあったのだろうか。
この全集を保有している当市の図書館はどのような経緯でこの図書を入手したのだろう。購入したのか寄贈を受けたのか、いずれにしてもこの全集を蔵書の一部として保有している当市の図書館に拍手をしたい。
ここにも文化を育てるという公共図書館の役割があるのではないか、と思ったことである。