剣客商売読本
平岩弓枝さんの「御宿かわせみ」(文春文庫) 34 巻を読み終えた妻にこれはどうかと池波正太郎さんの「剣客商売」(新潮社)全 16 巻を手渡した。
この物語の主人公は秋山小兵衛と大治郎の非常に対照的な親子の剣客。父親の小兵衛は小柄であり剣客として多くの修羅場を潜り抜けており、人間としてかなりの老獪さを有する。一方、息子の大治郎は非常に大柄で生一本の真面目な青年である。この二人が江戸の市井のいろいろな事件に関わり、見事解決していくという物語である。折に触れての主人公の剣の捌きが見事な筆致で描かれている。
剣客が主人公のこのシリーズが女性に相応しいか否か若干気になりつつも2度テレビドラマ化され、舞台でも上演されたことを知っていたので、妻に手渡したわけである。このシリーズには手渡したこの16巻の外に番外編として2編があるがどういう訳か私の書棚にはない。これは図書館で借りることにしよう。
妻は現在この本を読みつつあるようであるが、その感想を聞いてはいない。
この本と同時に私が書棚から見付け出したのが「剣客商売読本」(新潮文庫)である。内容はと言えば、「池波正太郎『剣客商売』を語る」と題して池波さんが過去に「剣客商売」に関連して書いた短いエッセイを纏めたり、「剣客商売」事典としてそれぞれの場面に登場する人物を数行で紹介した一覧表、作中に現れる食べ物一覧、作品中に現れる出来事の年表などを掲載したりしている。
さらには「剣客商売」の楽しみとして佐藤隆介、池内 紀など5人が短文を書いていたりする。
番外編を含めた剣客商売 18 巻に現れる諸々をこのシリーズの愛読者が楽しんで纏めたようなマニアックな一冊である。
なかでも私が楽しく再読したのは、「剣客商売」私ならこう完結させる、と題する大石新三郎(学習院大学名誉教授)、縄田一男(文芸評論家)、諸井 薫(作家)の鼎談である。ここでは3人は池波さんを横に置いて自由に自らの考えで作品を読み、それを解釈し、登場人物を評価する。
そして対談の掉尾は老人スーパーマンのあらまほしき最後についての話になる。華々しく戦って死ぬとか、最後は剣豪小説から老境小説へと持って行くとか楽しく話しをしたのちに「何はともあれ明るくほのぼのと締め括りたい、これだけは多くの愛読者の偽らざる気持ちでしょう」(大石)で話を終える。
カバー裏に特別付録として物語に現れる場所を現在の地図上に示してある今昔地図が印刷されているのは編集者の遊び心か。この編集者の配慮には今回の再読で初めて気が付いた次第。
平成2年5月に亡くなられた池波さんであるが、没後に愛読者によりこのような本が編まれたのは作家冥利に尽きるとお考えだろうか。それとも・・・。
この物語の主人公は秋山小兵衛と大治郎の非常に対照的な親子の剣客。父親の小兵衛は小柄であり剣客として多くの修羅場を潜り抜けており、人間としてかなりの老獪さを有する。一方、息子の大治郎は非常に大柄で生一本の真面目な青年である。この二人が江戸の市井のいろいろな事件に関わり、見事解決していくという物語である。折に触れての主人公の剣の捌きが見事な筆致で描かれている。
剣客が主人公のこのシリーズが女性に相応しいか否か若干気になりつつも2度テレビドラマ化され、舞台でも上演されたことを知っていたので、妻に手渡したわけである。このシリーズには手渡したこの16巻の外に番外編として2編があるがどういう訳か私の書棚にはない。これは図書館で借りることにしよう。
妻は現在この本を読みつつあるようであるが、その感想を聞いてはいない。
この本と同時に私が書棚から見付け出したのが「剣客商売読本」(新潮文庫)である。内容はと言えば、「池波正太郎『剣客商売』を語る」と題して池波さんが過去に「剣客商売」に関連して書いた短いエッセイを纏めたり、「剣客商売」事典としてそれぞれの場面に登場する人物を数行で紹介した一覧表、作中に現れる食べ物一覧、作品中に現れる出来事の年表などを掲載したりしている。
さらには「剣客商売」の楽しみとして佐藤隆介、池内 紀など5人が短文を書いていたりする。
番外編を含めた剣客商売 18 巻に現れる諸々をこのシリーズの愛読者が楽しんで纏めたようなマニアックな一冊である。
なかでも私が楽しく再読したのは、「剣客商売」私ならこう完結させる、と題する大石新三郎(学習院大学名誉教授)、縄田一男(文芸評論家)、諸井 薫(作家)の鼎談である。ここでは3人は池波さんを横に置いて自由に自らの考えで作品を読み、それを解釈し、登場人物を評価する。
そして対談の掉尾は老人スーパーマンのあらまほしき最後についての話になる。華々しく戦って死ぬとか、最後は剣豪小説から老境小説へと持って行くとか楽しく話しをしたのちに「何はともあれ明るくほのぼのと締め括りたい、これだけは多くの愛読者の偽らざる気持ちでしょう」(大石)で話を終える。
カバー裏に特別付録として物語に現れる場所を現在の地図上に示してある今昔地図が印刷されているのは編集者の遊び心か。この編集者の配慮には今回の再読で初めて気が付いた次第。
平成2年5月に亡くなられた池波さんであるが、没後に愛読者によりこのような本が編まれたのは作家冥利に尽きるとお考えだろうか。それとも・・・。