覚え違いタイトル集

覚え違いタイトル集

KEI(2022年10月26日)

 妻宛に送られてきたある国文学会の会報に福井県立図書館で長年司書として働いてきた人物が、自らが力を入れている業務としてのレファレンス・サービスについての短文を寄せていた。
 そこで紹介されていたのは「利用者が覚え違っていたタイトルと司書が探し出した正しいタイトルとを表形式にして公式サイトに『覚え違いタイトル集』というページを公開している」というものだった。
 興味本位で、紹介されているサイトを眺めた。眺めてみると「散歩する漱石」(正しくは「闊歩する漱石」)「もたれない」(正しくは「倚りかからず」)「カラダの豚」(正しくは「ガダラの豚」)など結構面白い間違いが現れる。2022年6月2日現在で1057例が紹介されている。
 同図書館によるとこの項目の目的は2つあり、その1は「カウンターで職員にたずねてくださるお客様はほんの一握りで,多くのお客様は検索した結果『ない、みつからない』としょんぼりしておられるはず。そのような方に,ヒントとして活用していただきたいと思ったから」で、その2は「レファレンス・サービスの認知度を高めること」だそうだ。
 紹介されている照会結果にあった「外国(アメリカ?)のおじいさんが死んでいく様子を写真で紹介している絵本。20年ぐらい前にどこかの図書館で借りた。実話だった」という情報で「おじいちゃん」(マーク・ジュリー写真・文 、ダン・ジュリー写真、重兼裕子訳)を探し出したり、「数年前に読んだ本で、昔何かの小説の賞をとった本、フランスが舞台で、貧しい主人公の少年が貴族の少年に気に入られて、同じ学校で学ぶことになるお話です。表紙には2人の顔が載っていたと思います」という照会から「一滴の嵐」(小島小陸著)を回答したというのは、どうしても書名を思い出せない場合は、私もこのような照会の仕方をするだろうと思いつつ読んだ。
「齋藤孝の本 タイトルはわからない 37冊読んだら大丈夫みたいな内容」というのがあり、これは齋藤孝著の「何のために本を読むのか」だったという笑えるような照会も掲載されていた。
「千年の蝉」が「百年の蝶」(深月ともみ著)だったり、「女はいつもよんじゅうすずめ」が「女はいつも四十雀」(林真理子著)だったり、「そして、のらには、ひげがない」が「粗にして野だが卑ではない」(城山三郎著)だったりするのは、司書さんがクイズを解くように頭を回転させた結果であろう。
 同図書館によるとこのサイトを書籍化した「100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集」が、 2013 年10月に講談社から刊行されたそうだ。ちょっと興味があったので当市の図書館の蔵書を検索したところ、所蔵数4、予約数 97 だった。