「邦人奪還」
副題に“自衛隊特殊部隊が動くとき”という語句が付された、2020年6月発行の小説「邦人奪還」(伊藤祐靖、新潮社)を知ったのは、同年8月頃のラジオ番組からだった。どの様な紹介だったかは今では全く覚えていないが、直ぐに図書館の所蔵を検索し、予約したのだから何か感じる所があったのだろう。
予約したことも忘れていた半年後に図書館から連絡があり、借り出し読み始めた。プロローグの尖閣諸島魚釣島に上陸、同島を占拠した中国人5人を自衛隊特別警備隊の3人が“蒸発”させる話から引き込まれ、あっという間に読み終えた。
主たるテーマは、クーデターを起こした可能性のある北朝鮮軍部がミサイル発射を企図していて、その発射基地の近傍に日本人拉致被害者6名が居住する施設がある、という情報がもたらされ、この所在の分かった6名の拉致被害者を奪還するという話である。元自衛官で海上自衛隊特別警備隊の創設者という作者が描くオペレーションは、臨場感が溢れ迫力満点である。
6人は無事救出されたが、31名の自衛隊員が亡くなった。
この奪還計画に際し、政府トップの会議でなされた我が国の安全保障法制や自衛隊の位置付け等に関する議論、さらになぜこの奪還計画を遂行しなければならないのか、奪還の代償として生じる多大な犠牲を直視できるのか、といった本来ならもう既に結論が出されていなければならない問題についての記述(103頁~150頁)には考えさせられるところが多かった。
この欄での政治的な議論は相応しくないが、私も含めた我われ日本人は結論を出さなければならない問題に目を瞑り、あるいはそれを避けて生きているように思った。
ここまで書いて、数年前の度重なる北朝鮮のミサイル発射や核爆発実験の結果、始まった朝鮮半島有事の際の在韓日本人の救出についての議論を思い出した。この議論がなされていた当時の長期滞留の在韓日本人は38,000人を超えており、出張者や旅行者の数を入れると韓国滞在日本人は6万人近いとも言われていた。
有事の際にこれら日本人をどのように帰国させるかが、議論されていたわけであるが、その後どうなったかは寡聞にして知らない。“喉元過ぎれば熱さを忘れる”というのだろうか。
予約したことも忘れていた半年後に図書館から連絡があり、借り出し読み始めた。プロローグの尖閣諸島魚釣島に上陸、同島を占拠した中国人5人を自衛隊特別警備隊の3人が“蒸発”させる話から引き込まれ、あっという間に読み終えた。
主たるテーマは、クーデターを起こした可能性のある北朝鮮軍部がミサイル発射を企図していて、その発射基地の近傍に日本人拉致被害者6名が居住する施設がある、という情報がもたらされ、この所在の分かった6名の拉致被害者を奪還するという話である。元自衛官で海上自衛隊特別警備隊の創設者という作者が描くオペレーションは、臨場感が溢れ迫力満点である。
6人は無事救出されたが、31名の自衛隊員が亡くなった。
この奪還計画に際し、政府トップの会議でなされた我が国の安全保障法制や自衛隊の位置付け等に関する議論、さらになぜこの奪還計画を遂行しなければならないのか、奪還の代償として生じる多大な犠牲を直視できるのか、といった本来ならもう既に結論が出されていなければならない問題についての記述(103頁~150頁)には考えさせられるところが多かった。
この欄での政治的な議論は相応しくないが、私も含めた我われ日本人は結論を出さなければならない問題に目を瞑り、あるいはそれを避けて生きているように思った。
ここまで書いて、数年前の度重なる北朝鮮のミサイル発射や核爆発実験の結果、始まった朝鮮半島有事の際の在韓日本人の救出についての議論を思い出した。この議論がなされていた当時の長期滞留の在韓日本人は38,000人を超えており、出張者や旅行者の数を入れると韓国滞在日本人は6万人近いとも言われていた。
有事の際にこれら日本人をどのように帰国させるかが、議論されていたわけであるが、その後どうなったかは寡聞にして知らない。“喉元過ぎれば熱さを忘れる”というのだろうか。