探した本
何かの機会に先生や読書好きの友人に薦められたり、書物の中で激賞されていたりしていた本を探した思い出話である。
現在ではインターネットを使えば、実に簡単にこれらの書物を探すことができ、必要とあれば翌日又は翌々日に入手できる。便利と言えば便利であるが、時間をかけて本を探す楽しみが奪われるようで味気ない。
手元にはいずれも古色蒼然とした、江藤 淳「夜の紅茶」(北洋社版と牧羊社版の2冊)、青柳瑞穂「ささやかな日本発掘」(新潮社)、中村光夫「戦争まで」(垂水書房)、塩田良平「随筆おゆき」(雪華社)、向井 敏「紋章だけの王国」(日本実業出版社)がある。
いずれも時間がかかったが近所の古本屋、会社から最寄駅までの間にあった古書店や大学近くの古書肆を巡り探し出したものである。と言ってもこれらの本を探す目的ではなく暇潰しに訪れたときや他の本を探しているときにちょっと気を付けていただけである。
そうそう「紋章だけの王国」は仕事で浜松に出張した時に、ふと目に付いた小さな古本屋で偶然に見つけたものだった。
数日前に久し振りにこれらの書物を書庫から取り出し、それぞれを適当なところから読み始めたが、若かりし頃の色々を思い出した。
「夜の紅茶」の中で同名のタイトルのエッセイの最後にチラッと書かれているアメリカン・コーヒーについての「たしかに能率の味がする。ゆとりとか、香りとか、情緒とかいうものとはついに無縁な、禁欲的かつ金属的な味がするのである」などは今でも覚えている。
「随筆おゆき」の著者の塩田良平氏は二松学舎大学学長を務められた国文学者であるが、私には旺文社の大学受験ラジオ講座の現代文担当の講師としての方が懐かしい。中原中也の「冬の長門峡」についてすばらしい声で、受験を離れていろいろと幅広く説明されることを、一言も聞き漏らさないように注意して聴取していたことは懐かしい思い出である。
「紋章だけの王国」はテレビCMの歴史と構造(と言っても1953年から1976年までの20数年間だけである)を当時電通に勤めていた向井 敏氏が纏められたものであるが、現在にも通ずる何かがあるように思いながら解説されているコマーシャル・ソングやコマーシャル・メッセージについての文章を読んだ。
ここにも書かれているが今でも懐かしく思い出すのは、レナウンの「ワンサカ娘」や明治製菓の「マーブルチョコレート」等のコマーシャル・ソングであり、さらには富士フイルムの「ワタシニモウツセマス」(扇 千景)や森永製菓の「大きいことはいいことだ」(山本直純)といったコマーシャル・メッセージである。
もしこれらの書籍を読もうとする現代の若者は、直ぐにインターネットでアマゾンの在庫を確認するだろう。彼らに習う形で私も戯れに検索してみた。「随筆おゆき」と「紋章だけの王国」は見当たらなかったが、他は古本で入手できるようだし、「ささやかな日本発掘」などは電子書籍でも読めるようだ。
現在ではインターネットを使えば、実に簡単にこれらの書物を探すことができ、必要とあれば翌日又は翌々日に入手できる。便利と言えば便利であるが、時間をかけて本を探す楽しみが奪われるようで味気ない。
手元にはいずれも古色蒼然とした、江藤 淳「夜の紅茶」(北洋社版と牧羊社版の2冊)、青柳瑞穂「ささやかな日本発掘」(新潮社)、中村光夫「戦争まで」(垂水書房)、塩田良平「随筆おゆき」(雪華社)、向井 敏「紋章だけの王国」(日本実業出版社)がある。
いずれも時間がかかったが近所の古本屋、会社から最寄駅までの間にあった古書店や大学近くの古書肆を巡り探し出したものである。と言ってもこれらの本を探す目的ではなく暇潰しに訪れたときや他の本を探しているときにちょっと気を付けていただけである。
そうそう「紋章だけの王国」は仕事で浜松に出張した時に、ふと目に付いた小さな古本屋で偶然に見つけたものだった。
数日前に久し振りにこれらの書物を書庫から取り出し、それぞれを適当なところから読み始めたが、若かりし頃の色々を思い出した。
「夜の紅茶」の中で同名のタイトルのエッセイの最後にチラッと書かれているアメリカン・コーヒーについての「たしかに能率の味がする。ゆとりとか、香りとか、情緒とかいうものとはついに無縁な、禁欲的かつ金属的な味がするのである」などは今でも覚えている。
「随筆おゆき」の著者の塩田良平氏は二松学舎大学学長を務められた国文学者であるが、私には旺文社の大学受験ラジオ講座の現代文担当の講師としての方が懐かしい。中原中也の「冬の長門峡」についてすばらしい声で、受験を離れていろいろと幅広く説明されることを、一言も聞き漏らさないように注意して聴取していたことは懐かしい思い出である。
「紋章だけの王国」はテレビCMの歴史と構造(と言っても1953年から1976年までの20数年間だけである)を当時電通に勤めていた向井 敏氏が纏められたものであるが、現在にも通ずる何かがあるように思いながら解説されているコマーシャル・ソングやコマーシャル・メッセージについての文章を読んだ。
ここにも書かれているが今でも懐かしく思い出すのは、レナウンの「ワンサカ娘」や明治製菓の「マーブルチョコレート」等のコマーシャル・ソングであり、さらには富士フイルムの「ワタシニモウツセマス」(扇 千景)や森永製菓の「大きいことはいいことだ」(山本直純)といったコマーシャル・メッセージである。
もしこれらの書籍を読もうとする現代の若者は、直ぐにインターネットでアマゾンの在庫を確認するだろう。彼らに習う形で私も戯れに検索してみた。「随筆おゆき」と「紋章だけの王国」は見当たらなかったが、他は古本で入手できるようだし、「ささやかな日本発掘」などは電子書籍でも読めるようだ。