謎解き伴大納言絵巻
伴大納言絵巻は、出光美術館所蔵の国宝絵巻である。同館のホームページによると「貞観8年(866年)閏3月10日に起きた応天門の炎上をめぐる大納言・伴善男の陰謀、その露見と失脚の物語を、生き生きと描いた絵巻です。(以下略)」とある。私はこの絵巻を他の収蔵品とともに出光美術館で見たはずだが、絵巻についてあまり関心を抱いていなかった所為か何も覚えていない。
この伴大納言絵巻をテーマにした謎解きゲームというか推理小説というかはたまた学術論文というか黒田日出男東京大学資料編纂所画像史料解析センター長の手になる「謎解き伴大納言絵巻」(小学館)を私が知ったのは、新聞の新刊書紹介欄からであった。紹介文には「知的興奮」というような語句があった。
私は全く知らなかったが、伴大納言絵巻には「第十三紙に描かれた庭に立つ束帯(そくたい)姿の貴人はいったい誰か…第十四紙に描かれている清涼殿広廂(ひろびさし)に侍坐(じざ)する束帯姿の若い貴人は誰か」という謎が、学問の世界では、あるそうだ。
この「二人の謎の人物」の解明がテーマかと思い読み進めたが、それに止まらず、精密な調査の結果上巻第十三紙と第十四紙の間に一紙があったと考えられることも判明し、そしてそこには詞書が書かれていたとする復元案が提示されたが、それに対しての反論もなされ、さらにはこの一紙は、第十三紙と第十四紙の間に描かれた場面を区切りつつ関連する絵が描かれていたと推定する意見も出された。
というように多くの研究者の意見や見解を述べつつ、これらを検討し、自らの仮説を展開する。
帯に「この本は、第一に『伴大納言絵巻』を支配してきたかに見える<謎の人物>論が、なぜ<謎>となったのかを明らかにする<謎解き>なのであり…第二に、それと表裏の関係をなしているのだが、『伴大納言絵巻』の文法や構成を明らかにする試みである」との文章がこの本の性格を示している。
謎解きゲームのようでもあり、良質の推理小説を読んでいるようでもあり、学者により程度を落とすことなく一般人にも解るように書かれた学術論文を読んでいるようでもあり、確かに「知的興奮」を覚える書物である。
この伴大納言絵巻をテーマにした謎解きゲームというか推理小説というかはたまた学術論文というか黒田日出男東京大学資料編纂所画像史料解析センター長の手になる「謎解き伴大納言絵巻」(小学館)を私が知ったのは、新聞の新刊書紹介欄からであった。紹介文には「知的興奮」というような語句があった。
私は全く知らなかったが、伴大納言絵巻には「第十三紙に描かれた庭に立つ束帯(そくたい)姿の貴人はいったい誰か…第十四紙に描かれている清涼殿広廂(ひろびさし)に侍坐(じざ)する束帯姿の若い貴人は誰か」という謎が、学問の世界では、あるそうだ。
この「二人の謎の人物」の解明がテーマかと思い読み進めたが、それに止まらず、精密な調査の結果上巻第十三紙と第十四紙の間に一紙があったと考えられることも判明し、そしてそこには詞書が書かれていたとする復元案が提示されたが、それに対しての反論もなされ、さらにはこの一紙は、第十三紙と第十四紙の間に描かれた場面を区切りつつ関連する絵が描かれていたと推定する意見も出された。
というように多くの研究者の意見や見解を述べつつ、これらを検討し、自らの仮説を展開する。
帯に「この本は、第一に『伴大納言絵巻』を支配してきたかに見える<謎の人物>論が、なぜ<謎>となったのかを明らかにする<謎解き>なのであり…第二に、それと表裏の関係をなしているのだが、『伴大納言絵巻』の文法や構成を明らかにする試みである」との文章がこの本の性格を示している。
謎解きゲームのようでもあり、良質の推理小説を読んでいるようでもあり、学者により程度を落とすことなく一般人にも解るように書かれた学術論文を読んでいるようでもあり、確かに「知的興奮」を覚える書物である。