阿久悠さんのアフォリズム
私は阿久悠という人物をよく知らない。作詞家であり、生涯に作詞した曲は5,000以上ある、ということだけが彼についての知識である。私が知っている彼の詩は人の心を打ったり、人生を考えさせたり、勇気づけられたり、言葉の選択が見事なものが多い。
たまたま図書館で彼の「清らかな厭世 言葉をなくした日本人へ」(新潮社)を知り、借り出した。この本は産経新聞の連載を纏めたものであり、3行の箴言に2頁のコメントが付されている。
その中で気に入ったものを書き写す。
彼は「若者はほっといても若者だが 大人は努力なしでは 大人になれない」と書く。(130頁)そして、「ある時代までは、若いということがネックになって、先へ進めないことが多かった。・・・だから何かを為そうとする青年は、一つ二つ年長のふりをして、どこか老成を誇示したりした。・・・文化は大人のものであったということである。・・・とにかく、何をするにも大人になる必要があった。・・・それが逆転した。・・・かくして、日本は、若者のための若者による若者文化の社会になり、だれも大人になろうとしない奇っ怪な価値観の国になっている。大人よ!」とする。
今の世の中に溢れている幼稚な諸々を、そしてその存在を見事に批判している。
その他「バイリンガルを誇るより 親愛語 敬語 社会語の 使い分けの方が尊い」には、「日本語を使うことの誇りが年々失われていっている。それは発声の仕方の無知性さと、脳を通過しないかのような言葉の緩みでわかる。だらしがないのだ。意思も感情も何もない。ぼくは小学校の授業の多くは、国語にあてるべきであると思っている。声を出して読むことも含めての国語である。それが心を作る。また、試験の成績が悪いのは、答を知らないのではなく、問題の意味を解せないと考えた方が納得がいくからである」とコメントする。(72~73頁)
全く同感である。この文章を読みつつ「発声の仕方の無知性さ」「脳を通過しないかのような言葉の緩み」という表現に脱帽した。
さらに後半のコメントにつきどなたの文章だったか「国語の能力の高い生徒は数学の能力も高い」を思い出した。教育現場におられる諸先生方はどう思われるかについては伺ったことはないが、小学校、中学校時代の私の友人たちに照らしても頷ける理論だと思った記憶がある。いずれにしても国語教育は大切だと信じている。
国語教育の大切さについては、文化庁が2020年9月25日に発表した令和元年度実施の「国語に関する世論調査」の結果が見事に証明している。
そこにあった「国語が乱れていると思うか」との質問に対し6割台半ばが「乱れていると思う」としているが、過去の調査と比較すると明確に減少傾向が示されているという。そして「国語がどのような点で乱れていると思うかについては、「敬語の使い方」と「若者言葉」が6割台前半と高い、とされている。
たまたま図書館で彼の「清らかな厭世 言葉をなくした日本人へ」(新潮社)を知り、借り出した。この本は産経新聞の連載を纏めたものであり、3行の箴言に2頁のコメントが付されている。
その中で気に入ったものを書き写す。
彼は「若者はほっといても若者だが 大人は努力なしでは 大人になれない」と書く。(130頁)そして、「ある時代までは、若いということがネックになって、先へ進めないことが多かった。・・・だから何かを為そうとする青年は、一つ二つ年長のふりをして、どこか老成を誇示したりした。・・・文化は大人のものであったということである。・・・とにかく、何をするにも大人になる必要があった。・・・それが逆転した。・・・かくして、日本は、若者のための若者による若者文化の社会になり、だれも大人になろうとしない奇っ怪な価値観の国になっている。大人よ!」とする。
今の世の中に溢れている幼稚な諸々を、そしてその存在を見事に批判している。
その他「バイリンガルを誇るより 親愛語 敬語 社会語の 使い分けの方が尊い」には、「日本語を使うことの誇りが年々失われていっている。それは発声の仕方の無知性さと、脳を通過しないかのような言葉の緩みでわかる。だらしがないのだ。意思も感情も何もない。ぼくは小学校の授業の多くは、国語にあてるべきであると思っている。声を出して読むことも含めての国語である。それが心を作る。また、試験の成績が悪いのは、答を知らないのではなく、問題の意味を解せないと考えた方が納得がいくからである」とコメントする。(72~73頁)
全く同感である。この文章を読みつつ「発声の仕方の無知性さ」「脳を通過しないかのような言葉の緩み」という表現に脱帽した。
さらに後半のコメントにつきどなたの文章だったか「国語の能力の高い生徒は数学の能力も高い」を思い出した。教育現場におられる諸先生方はどう思われるかについては伺ったことはないが、小学校、中学校時代の私の友人たちに照らしても頷ける理論だと思った記憶がある。いずれにしても国語教育は大切だと信じている。
国語教育の大切さについては、文化庁が2020年9月25日に発表した令和元年度実施の「国語に関する世論調査」の結果が見事に証明している。
そこにあった「国語が乱れていると思うか」との質問に対し6割台半ばが「乱れていると思う」としているが、過去の調査と比較すると明確に減少傾向が示されているという。そして「国語がどのような点で乱れていると思うかについては、「敬語の使い方」と「若者言葉」が6割台前半と高い、とされている。