新刊案内

新刊案内

KEI(2019年3月20日)

 かつては書店のレジの傍に一般読者向けの無料の新刊案内情報誌が置かれていたが、近くの書店ではいつの頃からか見ることがなくなった。現在でも発行されているのだろうか。
 公共図書館向けには「週刊新刊情報」や「週刊新刊全点案内」といった新刊案内誌が継続的に発行されているというようなことを聞いたが、残念ながら現物にお目に掛かったことはない。
 ということで、最近では新刊の情報は新聞の新刊案内欄と新聞広告から得ている。新聞広告はともかく新刊案内欄で取り上げられている書籍については、その選択基準の偏りについていろいろと意見があるようだが、そのようなことはあまり意識せず、自らの感性に基づき、購入すべきか否か、読むべきか否かを判断している。
 2年ほど前だったが、毎日新聞の「今週の本棚」欄で三省堂の「全訳 漢辞海 第4版」が「森閑としたことばの多彩な群落」との見出しのもと、かなりのスペースをとって紹介されていた。その紹介記事で印象に残っている文章がある。
 この辞書には「途、道、路」の違いについての説明文があるとし「いずれも車の通行できるみちを表わし、『途』は一車分、『道』は二車分、『路』は三車分の広さのみちをいう」を紹介していた。また、漢文用例すべてに日本語訳と書き下し文を付けているそうで、論語にある有名な「有朋自遠方来」には「ともありえんぽうよりきたる」と「とものえんぽうよりきたるあり」があり、二通りの格調を味わえる、とあった。
 手元には角川書店の「漢和中辞典」があるが、この紹介記事を読んで「これは面白い」、と直ぐに買い求めた。新聞で紹介されていなければ、間違いなくこの辞書を手に取ることはなかったであろう。
 我が国においても人気の高いオランダ・デルフトの画家フェルメールについての学術的著作であり、2000年に吉田秀和賞を受賞した小林頼子さんの「フェルメール論 神話解体の試み」(八坂書房)」を知ったのは、この受賞を紹介した4段組の新聞記事からだった。7,500円と高価ではあったが、基本書として、また事典的な扱いの書物として購入した。
 先日、借受図書の返却のため図書館を訪れたとき、新規購入図書の棚に、発行されたばかりの「日本語の作法(中村明、青土社)」が置かれているのに気がついた。手に取ってみると文章を作成するのに役に立つ知識がいろいろ書かれていた。
 アンテナを高くしていると新刊案内情報誌以外からでもいろんな所から、新刊の情報が入手できると、当然のことを改めて確認した次第。