図書館って(2)

図書館って(2)

けふばあちゃん(2017年12月27日)

『貸し出しを中心とした図書館』の意味を知ったのは、元滋賀県立図書館長、前川恒雄氏の「図書館講座」を受けてからでした。
 つまり、人が生きていく限り、いろんな課題に直面する。人が生きるというのは、その課題に取り組み、自分で解決しながら乗り越えていくこと。本は、その一助となるということ。そして、個人として存在している一人一人が違うように、その課題も当然一人一人違っている。ある人にとっての当面の課題は、今晩の献立であるかもしれない。ある人にとっては、仕事のヒントであるかもしれない。ある人には、起業するための資料であるかもしれない。ある人にとっては、論文のための学術書が必要であるのかもしれない。
 よって、それだけの資料をそろえることのできる資料費が必要であること。どんな人の課題にも応えられる資料があれば、市民は、本を借り、資料(本)を読み、考え、自分で問題を解決していく。そういう自立した個人が育っていくためにも図書館が必要であると、私は学びました。まさに、民主(民が主人公)国家の礎を築く機関といってもいいかもしれません。
「課題解決型図書館」とわざわざ言わなくても、もともと図書館は、市民ひとりひとりに必要な資料を提供することで、ひとりひとりの課題解決に役に立っているし、図書館員は、いろんな課題に直面する市民のために草の根分けても必要な資料を捜して、その一人のために届ける、それだけの気概と誇りをもって働くべきであると。
 目からうろこ、私にとって新しい図書館像でした。
 滋賀の図書館は、このような基本理念の元、次々と全市町村にでき、そのすべての図書館を県立図書館が支援する…「日本一の図書館県―滋賀県」の誕生です。
 今夏、大津の図書館について調べるチャンスをいただいて、大津市立図書館のレファレンス室に通って、古い資料を見せていただきました。
 昭和55年(1980年)10月1日号の「広報おおつ」には、『貸し出し本位の新しい図書館』『きめ細かなサービスが基本』という大見出しの記事が載っています。
「公共図書館ですから、誰に対しても自由で公平に資料提供することが大原則です」「そのためにも図書館を全市的なシステムとして位置付ける必要があります。つまり、『核』となる中央館を中心に数多くの分館・分室それに移動図書館のステーションを網の目のように全市的に張りめぐらし、どこにいても図書館が利用できるようにしなくてはなりません」
「将来は、8分館」とか「“席”は貸さない」「まずは堅田・瀬田に分館が必要ではないかと思っています」といった教育長や市長のことばが載っています。
 大津の図書館も、『市民の図書館』めざして発足していたんだ。息子たちと新しい本に囲まれて幸せな時間を過ごした浜大津本館はこうやってできて、南北に長い大津市のため、多くの市民が使いやすいようシステム分館構想もきちんとあって、市民にも約束されていたんだと初めて知りました。
 ネットでなんでも調べることができるし、今更図書館に行くこともない。居ながらにして電子図書も読める、図書館なんて必要ないじゃないか、なんのために図書館がいる?という意見もあります。でも、でも、やっぱり、考える間もなく流されて行かないためにも、一度立ち止まって考える。そのためにも、やっぱり本は、図書館は必要だと思います。
 図書館は、考える市民を育てます。考えることで、人は強くなります。歴史を学ぶことで、過ちを防ぐことができます。それ故にひとりひとりを大切にする図書館は、やっぱり大切だと思うのです。
 皆さんは、どうでしょうか?