図書館と書店(2)

図書館と書店(2)

muca(2024年9月11日)

 人気のある新刊書を自分も読みたいと思うとき、読後も手元に置いておきたいという程のものでもないのであれば、できれば図書館で借りたいという心情は理解できる。
 人気のある新刊書に、 10 数人もが借り出しの予約をしているという事例が少なくないことに私は驚くのだが、そのような本を公共図書館(以下、図書館)が複数購入で対応するということはしてはならないと思う。

 図書館は、予約が集中するような人気がある新刊書を複数所蔵する必要はないと考える。そういう要求が実際に多いのかどうかは知らないが、本を買える余裕のある者は書店で買って読むべきであろう。
 著者と書店を守らなければ本の発行数は減るばかりである。図書館だけを都合よく残せるはずがなく、絶版資料と古文書だけを所蔵する図書館になっていいわけがない。

 近年は「課題解決型の図書館」に重点が置かれているようである。図書館の存在意義を経済という面からも成立させる根拠として、説得力のある考え方とされているのかもしれない。
 しかしながら、当面の問題解決だけではなく、視野を広げる情報に接する機会をも大切にしなければならないと思う。そういうものは学校図書館で十分ということにはならず、大人になっても自分の抱える問題だけではなく、広い視野でものごとを考察できる感性を磨き続けられる環境が必要だと思うのである。

 自分が関わっている分野についての知識が深まればよいという自己中心的な発想に応えることだけが図書館の役割ではないはず。このような目的に重きを置いたような運営だけではなく、未来を見据えて人を育成していくという重厚な方針を優先すべき基本の一つとしてはっきり掲げるべきだと思う。

 広くて偏りのない情報が得られる環境を大切にすれば、より多くの者が他者の痛みを知ることもできる。平和で公平な世界を創り上げることにつながると思うのである。