モロッコ椅子
私たち夫婦は月曜日の夜に BS 日テレで放映されている「 BS 日本・こころの歌」のファンである。コーラスグループ・フォレスタが、童謡・唱歌や明治から昭和期までの「想い出の流行歌」を歌う番組である。余計なナレーションや演出は一切ない。
あるとき、この番組で鶴田浩二の「赤と黒のブルース」(作詞:宮川哲夫、作曲:吉田正)が歌われた。 1995 年のこの歌は二人とも知っていた。コーラスを聞きながら妻が「モロッコ椅子ってどんな椅子?」と聞いた。
歌詞の3番には「月も疲れた 小窓の空に 見るは涯ない 闇ばかり 倒れて眠る モロッコ椅子に 落ちた涙を 落ちた涙を ああ 誰が知ろ」とある。
聞かれて初めて「モロッコ椅子」について何も知らないのに気が付いた。今まで見た映画から漠然と「肘の付いた、背もたれの高い、ゆったりとした椅子」だとイメージしていたが、正確なことは何も知らなかった。
いい機会だからちょっと調べてみようと思い、インターネットで「モロッコ椅子」を検索した。画面にはいろんな形の椅子が現れたが、どうも変である。
そこで試しに国立国会図書館のレファレンス協同データサービスに「モロッコ椅子」と打ち込んだ。
そこには「鶴田浩二の『赤と黒のブルース』という曲の3番に出てくる『モロッコ椅子』がどのような椅子か見たい」との質問に対しての 2020 年3月の神戸市立中央図書館の次のような回答プロセスと回答内容が掲載されていた。
回答プロセス
あるとき、この番組で鶴田浩二の「赤と黒のブルース」(作詞:宮川哲夫、作曲:吉田正)が歌われた。 1995 年のこの歌は二人とも知っていた。コーラスを聞きながら妻が「モロッコ椅子ってどんな椅子?」と聞いた。
歌詞の3番には「月も疲れた 小窓の空に 見るは涯ない 闇ばかり 倒れて眠る モロッコ椅子に 落ちた涙を 落ちた涙を ああ 誰が知ろ」とある。
聞かれて初めて「モロッコ椅子」について何も知らないのに気が付いた。今まで見た映画から漠然と「肘の付いた、背もたれの高い、ゆったりとした椅子」だとイメージしていたが、正確なことは何も知らなかった。
いい機会だからちょっと調べてみようと思い、インターネットで「モロッコ椅子」を検索した。画面にはいろんな形の椅子が現れたが、どうも変である。
そこで試しに国立国会図書館のレファレンス協同データサービスに「モロッコ椅子」と打ち込んだ。
そこには「鶴田浩二の『赤と黒のブルース』という曲の3番に出てくる『モロッコ椅子』がどのような椅子か見たい」との質問に対しての 2020 年3月の神戸市立中央図書館の次のような回答プロセスと回答内容が掲載されていた。
回答プロセス
当初の質問が「モロッコ椅子が見たい」とのことだったので、家具に関する事典や図書を確認するもなし。モロッコの文化について書かれた本にもなし。ガイドブックの土産物の雑貨などで載っていないか調べたが出てこず。インターネットにもはっきりとした情報がない。
改めて利用者にどこで聞いた言葉なのか確認したところ、「鶴田浩二の『赤と黒のブルース』の3番の歌詞に出てくる」とのことだったので、『日本のうた 第3集』で歌詞と作詞家を確認。
作詞家の宮川哲夫についての図書を検索したところ、『街のサンドイッチマン』があり、目次に「モロッコ椅子」という項目があったので確認した。
改めて利用者にどこで聞いた言葉なのか確認したところ、「鶴田浩二の『赤と黒のブルース』の3番の歌詞に出てくる」とのことだったので、『日本のうた 第3集』で歌詞と作詞家を確認。
作詞家の宮川哲夫についての図書を検索したところ、『街のサンドイッチマン』があり、目次に「モロッコ椅子」という項目があったので確認した。
回答内容
(モロッコ椅子は)「赤と黒のブルース」の作詞をした宮川哲夫の造語である。『街のサンドイッチマン:作詞家宮川哲夫の夢』第三章 影法師の95頁(にある)「モロッコ椅子」(という項の)97頁(以下に)インテリアデザインを職業とする人から、モロッコ椅子というのはどんなデザインの椅子なのかという質問状がきた話があり、その礼状について以下のような記述がある。
「…略… 先生のおっしゃるコーチ風<寝イス状> やハイバック<背もたれの高い> のラタンチェア<籘イス> が小道具としてあらわれ、炎暑のけだるい画面を効果的に表現しておりました。詩人の目が、それを<モロッコイス> と見事に表現されたことを知り、先生のポエジイに敬意を表した次第です」。モロッコ椅子は、宮川哲夫の造語だったのだ。
「…略… 先生のおっしゃるコーチ風<寝イス状> やハイバック<背もたれの高い> のラタンチェア<籘イス> が小道具としてあらわれ、炎暑のけだるい画面を効果的に表現しておりました。詩人の目が、それを<モロッコイス> と見事に表現されたことを知り、先生のポエジイに敬意を表した次第です」。モロッコ椅子は、宮川哲夫の造語だったのだ。
これだけの文章では意味がはっきりしないところがあるが、宮川と質問者の間には何か前提となる画面があったのだろうと思われる。なお()内は私が補足したものである。
結論は簡単だが、そこに至る神戸市立中央図書館の調査の過程を興味深く読んだ。私は、作詞者である宮川哲夫の著作を調査することまでは思いつかなかった。
なお、参考資料として「日本のうた 第3集」(野ばら社編集部編、野ばら社)、「街のサンドイッチマン:作詞家宮川哲夫の夢」(辻由美、筑摩書房)が掲載されていた。いつもの癖で原典にあたろうと後者について我が市の図書館の在庫状況を検索したが保有していなかった。
結論は簡単だが、そこに至る神戸市立中央図書館の調査の過程を興味深く読んだ。私は、作詞者である宮川哲夫の著作を調査することまでは思いつかなかった。
なお、参考資料として「日本のうた 第3集」(野ばら社編集部編、野ばら社)、「街のサンドイッチマン:作詞家宮川哲夫の夢」(辻由美、筑摩書房)が掲載されていた。いつもの癖で原典にあたろうと後者について我が市の図書館の在庫状況を検索したが保有していなかった。