今月の特集

今月の特集

ヒラマロ(2015年7月15日)

 和邇図書館の楽しみは「新着図書」と「今月の特集」だ。7月の特集は、新任次長渾身の「スポーツ」である。そのなかで目を惹くのは、赤瀬川原平『老人力』だ。カバーの朱色は、老人を夕陽に擬えたに違いない。書名は何となく記憶にあるから、昔、話題になった本らしい。
 平均寿命が八十歳を越える今日、老人と呼ばれるのはまだ先の筈だが(ただし、「実年齢で」である)、スポーツの特集で「老人力」とは何なのか。回りを見渡しながら本を手に取り、見返しの遊び紙に貼られた惹句を見ると、老人力は、「物忘れ、繰り言、ため息等」だとある。益々わからない。
 通勤の車中で読み出したが、笑える。若い娘達のなかで、ニヤニヤするのはまずい。ひとまず中断し、乗り換えてから再び読み始める。回りはオッサンだからと油断したが、笑ってしまうことには変わりがない。結局のところ、諦めて自室で読むことにした。この本で笑えるというのは、すでに老人なのだろうか。
 読了後、この赤瀬川老人は、『新明解国語辞典』を題材にした『新解さんの謎』の著者であることを知った。以前から気にはなっていた本である。
これは是非とも読まなければならない。今まで何の関心もなかった本を手に取るようになるのは、ほんのちょっとした切掛けからだ。「もっと本を読んで欲しい」「こんな本もありますよ」。そのような思いから図書館員は工夫を重ねるのだろう。
 それはともかく、問題は、「スポーツ」と赤瀬川老人の『老人力』である。笑うことで顔の筋肉の運動にはなる。腹筋も動く。これがスポーツということなのだろうか。この謎掛けについては、担当者にそっと種明かしをしてもらうほかない。