忘れられない司書さん「その1」
当ホームページの記事を拝読するたびに、考えさせられることが多い。その一つは「正規職員、司書数」のことである。人数が多いことは大事だが、それと共に司書の資質は重要だよとつい思ってしまう。
忘れられない司書さんがいる。
司書資格を持つKさんは、某県立高校にたった一人の司書として赴任した。正規職員ではなかった。1年ごとに契約をする臨時職員であった。
彼女が図書任務について以来、あっという間にその図書室は一変した。利用者が大幅に増え、貸し出し数も驚くほどの数字を示しだした。その後何度かに亘って図書館利用実績を発表し、周囲の県立高図書運営に携わる人たちを驚かせたことからもその実践の確かさを伺うことができる。
何がそういう変化をもたらしたのだろう。
まず、図書室に入って目にする掲示である。本という宝物の世界に入った気分にさせられた。おすすめの図書、みんなのお気に入りの図書、新刊図書等々のアピールの掲示物の豊かさには、思わず感嘆の言葉が出るほどだった。文字といい、デザインといい、用紙の色づかいといい、その場に立ちすくみ、つい、おすすめの本を探したくなる。予算が限られていたので、用紙は様々な廃物品を工夫することもあった。本の帯の活用も目を見張った。
続いて、カウンター業務の秀逸さである。常に、来室者に目を配り、生徒の好みを探り、それと共にこの生徒にはこんな本も薦めたいと考えていたようだった。声かけもするが押しつけない、聞かれたら答える。が、時々「どうだった」とか「こんな本もあるわよ」と積極的になることもあった。常に自分が高校生だったら何を読みたいかと考え、生徒達に寄り添っていたと思う。
Kさんが大事にしていたのは、選書である。こんな選書もやっていた。
1年に一度ではあるが1年生、2年生の図書委員を市内の大型本屋に連れて行き、各自、10冊ずつ本を選ばせる。その学校には、PTAによる図書予算もあったので、県の予算規約では買えない小さな文庫本も購入できた。一人10冊の選定は、どんなにふるい落とされたと言っても何冊かは、自分で選んだ本が図書室の書棚に並ぶことにつながり、図書委員たちの充実感と共に他の生徒達への宣伝にもなった。1年間の選書は、哲学書から実用書、ファンタジーまで選書の幅は広がった。もちろん、教師の教材研究のための専門書も選ばれた。司書として、すべての本を読んでいるわけではない。しかし、好まれる本や必要な本は何かの見極めと、この高校生という年代に読んで欲しい本を選びたいという信念があったように思う。在庫の本、新刊を常に把握している姿があった。
図書館の仕事をしていく上で大事なのは、プライバシーの保護である。利用者の本の選定を見ると、どんなことに興味を持っているか、どんな思想信条なのかは、一目瞭然になる。しかし、そのことは、他言してはならない司書としての心構えだ。Kさんは、そのことは徹底していた。だから、利用者は安心して相談でき、好みの本を選ぶことができたと思う。
近所の市立図書館に通っていくと、ついこの司書さんと比較してしまう。
「一人でもあれだけの仕事がやれたのに……」と。この話には続きがある。
来週に、また。
忘れられない司書さんがいる。
司書資格を持つKさんは、某県立高校にたった一人の司書として赴任した。正規職員ではなかった。1年ごとに契約をする臨時職員であった。
彼女が図書任務について以来、あっという間にその図書室は一変した。利用者が大幅に増え、貸し出し数も驚くほどの数字を示しだした。その後何度かに亘って図書館利用実績を発表し、周囲の県立高図書運営に携わる人たちを驚かせたことからもその実践の確かさを伺うことができる。
何がそういう変化をもたらしたのだろう。
まず、図書室に入って目にする掲示である。本という宝物の世界に入った気分にさせられた。おすすめの図書、みんなのお気に入りの図書、新刊図書等々のアピールの掲示物の豊かさには、思わず感嘆の言葉が出るほどだった。文字といい、デザインといい、用紙の色づかいといい、その場に立ちすくみ、つい、おすすめの本を探したくなる。予算が限られていたので、用紙は様々な廃物品を工夫することもあった。本の帯の活用も目を見張った。
続いて、カウンター業務の秀逸さである。常に、来室者に目を配り、生徒の好みを探り、それと共にこの生徒にはこんな本も薦めたいと考えていたようだった。声かけもするが押しつけない、聞かれたら答える。が、時々「どうだった」とか「こんな本もあるわよ」と積極的になることもあった。常に自分が高校生だったら何を読みたいかと考え、生徒達に寄り添っていたと思う。
Kさんが大事にしていたのは、選書である。こんな選書もやっていた。
1年に一度ではあるが1年生、2年生の図書委員を市内の大型本屋に連れて行き、各自、10冊ずつ本を選ばせる。その学校には、PTAによる図書予算もあったので、県の予算規約では買えない小さな文庫本も購入できた。一人10冊の選定は、どんなにふるい落とされたと言っても何冊かは、自分で選んだ本が図書室の書棚に並ぶことにつながり、図書委員たちの充実感と共に他の生徒達への宣伝にもなった。1年間の選書は、哲学書から実用書、ファンタジーまで選書の幅は広がった。もちろん、教師の教材研究のための専門書も選ばれた。司書として、すべての本を読んでいるわけではない。しかし、好まれる本や必要な本は何かの見極めと、この高校生という年代に読んで欲しい本を選びたいという信念があったように思う。在庫の本、新刊を常に把握している姿があった。
図書館の仕事をしていく上で大事なのは、プライバシーの保護である。利用者の本の選定を見ると、どんなことに興味を持っているか、どんな思想信条なのかは、一目瞭然になる。しかし、そのことは、他言してはならない司書としての心構えだ。Kさんは、そのことは徹底していた。だから、利用者は安心して相談でき、好みの本を選ぶことができたと思う。
近所の市立図書館に通っていくと、ついこの司書さんと比較してしまう。
「一人でもあれだけの仕事がやれたのに……」と。この話には続きがある。
来週に、また。