私専用の図書館
文字どおり図書館に住んだ学者の話を読んだことがある。住宅事情がよくない頃の話である。海外留学から帰国したばかりの若手研究者であった彼は、志願して大学図書館の住み込み宿直員になったそうだ。そこで彼は真夜中の図書館という極めて贅沢な空間を得て、そこにある全ての図書を我が物とし、読書、研究、思索に没頭したという。
図書館に住んだことはないが、当時、日本最大の売場面積と謳われた大規模書店が入居しているビルの上層階にあった職場で勤務したことがある。永年入居していた古いビルを建て直す期間だけということで、一時的に会社全体が引っ越したのだ。大阪駅から徒歩5分弱の距離にある新築のこのビルへは地下街を通って行けば傘も不要であった。このビルの1階から3階までのフロアに「現在入手可能な新刊書は全て揃えた」と豪語する書店が入っていた。
帰宅途中にこの書店に立ち寄る回数が増えたことは言うまでもない。これ以上に便利だったのは、仕事に関係することでちょっと気になったことを確認したり、手元の図書や雑誌では触れられていない問題について解決のヒントを得たり、新しい学説や判例をチェックしたりすることであった。
私の専門分野に限っての知見でしかないが、確かに品揃えはすばらしかった。疑問を抱いたり問題点に気が付いたりしてから3分後には、関係する新刊専門書がずらりと並んだ書棚の前に立つことができたのだ。あたかも専用の図書館を私有しているような気分だった。
立ち読み歓迎ということで、その当時では珍しかったが、窓際には椅子とテーブルが置かれていた。
ほとんどの椅子が先客に占領されているのが常態だったため、椅子に座ってゆっくりと読んだ記憶はないが、並べられた図書の必要部分の立ち読みをしたり、場合によってはそれらを購入したりした。結果的に随分と時間の節約になったと思っている。!
このような便利なことは、図書の選定方針から考えて市立図書館では期待できないことは明白であり、大学図書館や国立国会図書館でも、その運営システムから考えて、期待できないに違いない。この書店は数年間ではあったが、私専用の図書館のような働きをしてくれた。
図書館に住んだことはないが、当時、日本最大の売場面積と謳われた大規模書店が入居しているビルの上層階にあった職場で勤務したことがある。永年入居していた古いビルを建て直す期間だけということで、一時的に会社全体が引っ越したのだ。大阪駅から徒歩5分弱の距離にある新築のこのビルへは地下街を通って行けば傘も不要であった。このビルの1階から3階までのフロアに「現在入手可能な新刊書は全て揃えた」と豪語する書店が入っていた。
帰宅途中にこの書店に立ち寄る回数が増えたことは言うまでもない。これ以上に便利だったのは、仕事に関係することでちょっと気になったことを確認したり、手元の図書や雑誌では触れられていない問題について解決のヒントを得たり、新しい学説や判例をチェックしたりすることであった。
私の専門分野に限っての知見でしかないが、確かに品揃えはすばらしかった。疑問を抱いたり問題点に気が付いたりしてから3分後には、関係する新刊専門書がずらりと並んだ書棚の前に立つことができたのだ。あたかも専用の図書館を私有しているような気分だった。
立ち読み歓迎ということで、その当時では珍しかったが、窓際には椅子とテーブルが置かれていた。
ほとんどの椅子が先客に占領されているのが常態だったため、椅子に座ってゆっくりと読んだ記憶はないが、並べられた図書の必要部分の立ち読みをしたり、場合によってはそれらを購入したりした。結果的に随分と時間の節約になったと思っている。!
このような便利なことは、図書の選定方針から考えて市立図書館では期待できないことは明白であり、大学図書館や国立国会図書館でも、その運営システムから考えて、期待できないに違いない。この書店は数年間ではあったが、私専用の図書館のような働きをしてくれた。