物語の題名

物語の題名

ワニファン(2016年12月14日)

 図書館に行って本を選ぶとき、まず題名に惹かれて本を取り出すことが多い。作者が、どうしてこんな題名を付けたのか、興味をそそられる。
 若い頃読みあさった松本清張文学など、その題名には驚かされた。
『点と線』『眼の壁』『ゼロの焦点』『砂の器』など、一体この物語はどんな筋なんだろうかと思うが、予想すらできなかった。読み終わってから、「そういうことなのか……」と分かったような気分にさせられたものだ。
 題名を見ただけで、だいたい物語の筋やテーマを予想できるものは、どこか気楽でもあるがちょっとしたワクワク感はうせる。
 老後の趣味で創作をしているが、題名をつけるのは苦労する。趣味の範囲を超えるものではないのでたいした問題ではないだろうが、合評の席に持って行くとなると「ちょっと考えました」というかっこつけのふりもしたい。
 最近、子どものふれあいをテーマにした創作を書いたが、題名には苦労した。その最後の方に「ずっと友達」という台詞を書いたが、テーマから考えてもそれでいいかと思い『ずっと ともだち』にした。が、書いてみるとどうも直接的でおもしろみにかける。悩んだ挙げ句『こうちゃん ちかたん 二人の天使』にした。この題名を見て、何を想像できるか。読んでくれた人たちがどんなことを思い描けるか、興味深い。合評での批評が楽しみである。
 そういう時に、友人である児童文学作家 野村一秋さんの新作が送られてきた。彼の奥さんは、重度の障害を持つ子どもの学級担任である。その生活の一端を夫の野村一秋さんが物語にした。もちろん、創作である。そのテーマは、子どもたちの友情のあり方、友達の関係だ。では、どんな題を彼はつけたか……。それは、『4年2組がやってきた』だった。なるほどと感服し、その題の良さと共に物語を読んだ感動も彼に伝えた。
 ふと、図書館の司書さんのことを考えた。
 本を題名だけでなく、しっかり読んで内容を把握しておく。図書館司書さんの腕の見せ所、プロとしての力はこういうところにあるのではないかと思う。
 図書館の窓口で、
「すみませーん。友達に関係する本を子どもに読ませたいので、選ぶのを助けてください」と尋ねられたとき、どんな本を示せるか。
 この問い合わせをした方は、本棚にある『・・のともだち』などという題名のものを聞いているわけではないだろう。それは、棚を見たら分かることだから。
 内容を把握しておいて、それを示す。
 思わず、司書さんがんばって……と叫びたくなる。