図書館見て歩き(3)
東京に出たついでに日野市立中央図書館を訪ねました。JR中央線豊田駅を降りて…。はて、この先は?…通りがかりの方に道を尋ねる。
「市立図書館に行きたいのですが…どういけばいいですか?」
「ああ、図書館ですか。この道を右に行って、左に曲がって、真っすぐ行くといいですよ。ああ、このまま真っすぐでも行けますよ」と、ニコニコして教えてくださる。真っすぐでもいいといわれたのでそのまま行く。坂道を下って、やがて右へ、今度は登り。不安になって再び別の方に道を尋ねる。「図書館は、…?」またまた、にこっとして、「ああ、図書館ですか。すぐそこですよ。ご案内しましょう」と先に立って案内してくださる。やがて、レンガの図書館が目の前に。図書館は、日野市民の誇りなのかなぁ。図書館というだけで、皆さん笑顔になるっていうのは、とちらっと思う。
玄関ホールの掲示板には『本を宅配します』『日野ヤングスタッフ新メンバー募集』『おはなし会へおいでよ』『見たい!聞きたい!作家の素顔―初野晴さん講演会』などなど、魅力的なお知らせがいっぱい。正面左は階段、二階『レファレンス』と大きく書いてある。右が一階一般図書と児童室。
入ってすぐ左のカウンターには、司書さんが数人。ここでもにこやかに迎えてくださる。「大津から来ました。ちょっと見学させていただいていいですか?」
旅行鞄を預かっていただいて、ゆっくり見せていただく。カウンター正面に一般書架があり、大きなガラス窓を通して、鎮守の森の大きな欅やヒノキが見え、その鎮守の森を囲むようにかぎ状の児童室がある。
10月だったので、児童室には、ハロウィンのカボチャや蝙蝠、魔女などの切り絵や折り紙が飾られ、森側の窓辺は、「あきみつけた」「あきのこえ」などの特集コーナーがある。
それ程広いというのではない児童室だが、子ども新聞、子どもの本の雑誌、民話・昔話、おはなしの本、子どもの本の研究書、日野市についての資料、本のこと、図書館、哲学、心理学、ジャーナリズム、博物館などのコーナーがある。洋書の棚では、長い間読み継がれたのか、本の背の天のところが摩耗して丸くなっている。窓辺のトイレットペーパーの芯に毛糸をまいて作ったお人形を、なんと豊かで温かなんだろうと思いつつ眺めていると、ぼそぼそと小さなお子さんに読み聞かせをしているお父さんの声。きっとこのお父さんも子どもの頃にここに通ってきておられたんだろうなぁと、思わず「ひまわり号」からの日野の図書館の年月を感じてしまう。
一般書架では、入り口に近い方から、特集コーナー(旅にでようか)、新聞・雑誌・実用書(家庭料理・お弁当・保存食・麺類・パン・お菓子・飲料・料理道具…)があり、右手の鎮守の森側は、吹き抜けでガラスの壁がある。森を眺めながらの読書コーナーがあって、左に移るほどに書架の背が高くなってゆく。また、書架の下二段は30度から45度の角度がついているので、かがまなくても下の段の本の背を見ることができる。
壁際は、天井までぎっしりの本。上の方には、全集物や専門書が並ぶ。社会学講座・日本女性史・リルケ全集・イプセン戯曲集…などなど。一番上の天井に近いところは案内板が少し下向きになっていて、見やすい。また、「ご希望の本が他の場所にある場合もありますので職員におたずね下さい」の案内板が貼ってある。吹き抜けから見える二階の窓には、大きく「レファレンス室」と書かれている。
カウンターでたずねてみる。「古典や全集物もあるようですが、開架書庫になっているのですか?」
「いいえ、書庫は別にあります。こういうものもあるのなら、他にもあると思っていただけるので…」
二階は、レファレンス室(調べもの相談室・辞典・図鑑・雑誌・コピーサービス)と市民資料室(市政資料・郷土資料)があり、インターネットにもつながる。ホールには「しごと情報コーナー」がある。
日野市には、この中央館の他に6つの分館と移動図書館1台がある。
50年前に移動図書館「ひまわり号」1台で出発した日野の図書館の精神は、ずっと受け継がれ、市民の中に深く根ざしてきていることを実感した。豊富な資料とその質の高さに好奇心を揺さぶられ、知識欲を満たしたくなるような書架のひとつをざっと見ただけであるが、棚並べからそんな風に感じたものである。
「滋賀の図書館はガラパゴス」とか「これからの図書館像」とか「課題解決型図書館」とか、今いろんなことが言われている。が、図書館がどういう所で、どういう仕事をするところか、この日野の図書館の精神こそが図書館ではないか。つまり市民が自らを高め、自由な思考と判断のできる自立した市民が増えるよう、市民の自己形成への資料を提供し、判断の材料を整えることこそが図書館の仕事ではないか。それは、市民一人一人と向き合って、つまり、貸し出しを中心とした仕事をして、初めて司書も育ち、市民の側も、自分自身で問題解決ができるような市民が育つのではないだろうか。
日野の市民の方々が、「みんなの図書館」と誇りに思い、職員も市民一人一人のために適切な資料提供をする、こういう地道な仕事こそ、私たちの求める「市民の図書館」なのだとつくづく思う。
「市立図書館に行きたいのですが…どういけばいいですか?」
「ああ、図書館ですか。この道を右に行って、左に曲がって、真っすぐ行くといいですよ。ああ、このまま真っすぐでも行けますよ」と、ニコニコして教えてくださる。真っすぐでもいいといわれたのでそのまま行く。坂道を下って、やがて右へ、今度は登り。不安になって再び別の方に道を尋ねる。「図書館は、…?」またまた、にこっとして、「ああ、図書館ですか。すぐそこですよ。ご案内しましょう」と先に立って案内してくださる。やがて、レンガの図書館が目の前に。図書館は、日野市民の誇りなのかなぁ。図書館というだけで、皆さん笑顔になるっていうのは、とちらっと思う。
玄関ホールの掲示板には『本を宅配します』『日野ヤングスタッフ新メンバー募集』『おはなし会へおいでよ』『見たい!聞きたい!作家の素顔―初野晴さん講演会』などなど、魅力的なお知らせがいっぱい。正面左は階段、二階『レファレンス』と大きく書いてある。右が一階一般図書と児童室。
入ってすぐ左のカウンターには、司書さんが数人。ここでもにこやかに迎えてくださる。「大津から来ました。ちょっと見学させていただいていいですか?」
旅行鞄を預かっていただいて、ゆっくり見せていただく。カウンター正面に一般書架があり、大きなガラス窓を通して、鎮守の森の大きな欅やヒノキが見え、その鎮守の森を囲むようにかぎ状の児童室がある。
10月だったので、児童室には、ハロウィンのカボチャや蝙蝠、魔女などの切り絵や折り紙が飾られ、森側の窓辺は、「あきみつけた」「あきのこえ」などの特集コーナーがある。
それ程広いというのではない児童室だが、子ども新聞、子どもの本の雑誌、民話・昔話、おはなしの本、子どもの本の研究書、日野市についての資料、本のこと、図書館、哲学、心理学、ジャーナリズム、博物館などのコーナーがある。洋書の棚では、長い間読み継がれたのか、本の背の天のところが摩耗して丸くなっている。窓辺のトイレットペーパーの芯に毛糸をまいて作ったお人形を、なんと豊かで温かなんだろうと思いつつ眺めていると、ぼそぼそと小さなお子さんに読み聞かせをしているお父さんの声。きっとこのお父さんも子どもの頃にここに通ってきておられたんだろうなぁと、思わず「ひまわり号」からの日野の図書館の年月を感じてしまう。
一般書架では、入り口に近い方から、特集コーナー(旅にでようか)、新聞・雑誌・実用書(家庭料理・お弁当・保存食・麺類・パン・お菓子・飲料・料理道具…)があり、右手の鎮守の森側は、吹き抜けでガラスの壁がある。森を眺めながらの読書コーナーがあって、左に移るほどに書架の背が高くなってゆく。また、書架の下二段は30度から45度の角度がついているので、かがまなくても下の段の本の背を見ることができる。
壁際は、天井までぎっしりの本。上の方には、全集物や専門書が並ぶ。社会学講座・日本女性史・リルケ全集・イプセン戯曲集…などなど。一番上の天井に近いところは案内板が少し下向きになっていて、見やすい。また、「ご希望の本が他の場所にある場合もありますので職員におたずね下さい」の案内板が貼ってある。吹き抜けから見える二階の窓には、大きく「レファレンス室」と書かれている。
カウンターでたずねてみる。「古典や全集物もあるようですが、開架書庫になっているのですか?」
「いいえ、書庫は別にあります。こういうものもあるのなら、他にもあると思っていただけるので…」
二階は、レファレンス室(調べもの相談室・辞典・図鑑・雑誌・コピーサービス)と市民資料室(市政資料・郷土資料)があり、インターネットにもつながる。ホールには「しごと情報コーナー」がある。
日野市には、この中央館の他に6つの分館と移動図書館1台がある。
50年前に移動図書館「ひまわり号」1台で出発した日野の図書館の精神は、ずっと受け継がれ、市民の中に深く根ざしてきていることを実感した。豊富な資料とその質の高さに好奇心を揺さぶられ、知識欲を満たしたくなるような書架のひとつをざっと見ただけであるが、棚並べからそんな風に感じたものである。
「滋賀の図書館はガラパゴス」とか「これからの図書館像」とか「課題解決型図書館」とか、今いろんなことが言われている。が、図書館がどういう所で、どういう仕事をするところか、この日野の図書館の精神こそが図書館ではないか。つまり市民が自らを高め、自由な思考と判断のできる自立した市民が増えるよう、市民の自己形成への資料を提供し、判断の材料を整えることこそが図書館の仕事ではないか。それは、市民一人一人と向き合って、つまり、貸し出しを中心とした仕事をして、初めて司書も育ち、市民の側も、自分自身で問題解決ができるような市民が育つのではないだろうか。
日野の市民の方々が、「みんなの図書館」と誇りに思い、職員も市民一人一人のために適切な資料提供をする、こういう地道な仕事こそ、私たちの求める「市民の図書館」なのだとつくづく思う。