蔵出し一冊

蔵出し一冊

KEI(2017年5月3日)

 チラチラと雪の舞うある日、インターネットを使って市立図書館の蔵書の借り出し予約をしているときに、同館が「メールマガジン」を発行していることに気付いた。ちょっと気になり、私にも送られるようにパソコンの設定を変更した。
 さっそく送られてきたメールマガジンは229号だった。どの程度の頻度で発行されているのかは、今のところ知らないが、229というのはかなりの数字である。
 目を通してみると、「あるテーマについての関連本の紹介」「当市の自然・お祭り・民話・資料などの紹介」「図書館関係のインフォメーション」、などの欄に交じって「本の紹介<蔵出し一冊>」というのがあった。メールマガジンの文章によると「図書館職員が今までの読書体験の中から紹介する珠玉の1冊」を掲載する欄だそうだ。
 そして、この号では、<蔵出し一冊>として、シャンソン歌手・石井好子さんの「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」が紹介されていた。一瞬「へえー」と思った。
 私の記憶が正しいとすれば、このエッセイ集は、かなり評判がよく、日本エッセイスト・クラブ賞を受賞したはずであるが、半世紀近く前に発行された本である。洒落た書名だと思いながらも、私の関心が別のところにあったため、買うことのなかった本である。
 今までどのような本が紹介されていたのだろうと、バックナンバーの欄をクリックしてみた。
 20ほどのジャンルに分かれていたが、「旅」「エッセイ・ノンフィクション」「時代小説」「ミステリー」などに交じって「大人にすすめたいこどもの本」というジャンルもあり「タンタン チベットを行く」や「星の王子さま」など6冊が掲載されていた。
「旅」のジャンルでは「かくれ里」(白洲正子)、「深夜特急」(沢木耕太郎)、「河童が覗いたヨーロッパ」(妹尾河童)など私も選ぶだろうと思う書物の名前があった。
 図書館として、少しでもその存在を身近に感じ利用して貰えるよう、いろいろと努力されているのだろう、と感心した。推薦されている図書を読むかどうかは別にして、図書館の職員の方々が、いろんな意味で、自らが「これだ」と思う本を紹介して下さるのは、自分では気の付かなかった、あるいは関心がなかった類の本に出会う機会を得るという点からも意味のあることだ、と思ったことである。