アラブ首長国連邦 アブダビ日本人学校図書室

アラブ首長国連邦アブダビ日本人学校図書室

林知子(2022年7月3日)

 この4月にアラブ首長国連邦の首都アブダビの日本人学校に赴任した友人から「アブダビ通信」が送られてくる。
 日本とは、様々な違いがあり驚くことがいっぱいだ。学校の図書室の話も綴られている。この国は監視社会で、様々なところに監視カメラがあり、カメラによって人々の生活は監視され、時には守られている。抜き打ちの検査もあるらしい。
 先日、図書室に抜き打ち検査があったとのことだった。そして、本を検査して、イスラム教の教えと異なる内容のものが調べられて、警告されたという。まだ、警告だけだから廃棄とまてはいかなかったようだが、それ以後は警告本の置き場にも神経を使う必要があるようだ。
 それと比べると、日本の「図書館の自由に関する宣言」など素晴らしい内容だとつくづく思う。その宣言の第4は次のようにある。

 検閲は、権力が国民の思想・言論の自由を抑圧する手段として常用してきたものであって、国民の知る自由を基盤とする民主主義とは相容れない。
 検閲が、図書館における資料収集を事前に制約し、さらに、収集した資料の書架からの撤去、廃棄に及ぶことは、内外の苦渋にみちた歴史と経験により明らかである。
 したがって、図書館はすべての検閲に反対する。・・・

 しかし、この思想をアラブ首長国連邦政府に差し出しても、どこ吹く風であろうか。それだけ、イスラムの教えは強いのだろう。
 この日本人学校は、日本人だけでなく、現地の子どもたちも通っているという珍しい学校で、その子たちをエミラティと呼んでいるという。卒業したら、日本に留学する目的で通っているとのことだ。日本にきたら、図書館のあり方を学んで欲しい。
 子どもたちの図書室での活動は微笑ましい。生徒児童数が少ないので、エミラティと日本人の子ども間の交流はもちろん、異学年交流も自然と生まれていて、委員会活動も3年生から始まっているらしい。(ちなみに日本では委員会活動は一般的には4年生からだ)図書委員では、エミラティの6年生が委員長となり、下学年の子どもたちに本の貸し借りを教えているとのことだ。赴任したばかりの教師にとってはまだ慣れない景色だそうだが、子どもたちは当たり前の活動だという。
 この学校に通う子どもたちの大きな課題は、コミュニケーション能力の低さであるという。これは言葉の壁もあるが、言い方を変えたら喧嘩しないですむと思えることが多々あり、ソーシャルスキルトレーニングを取り入れようと思っているとのことだ。図書室の本を活用して、語彙を増やすことを願っている。
 今、気温が40度を超える地の図書館の話は興味がつきない。次にどんな話がやってくるか。楽しみだ。