移動図書館「さざなみ号」

移動図書館「さざなみ号」

けふばあちゃん(2022年4月3日)

 桜が咲き始めるかな?でも、また寒くなった。
 そんなどんよりとしたお天気の3月29日、大津市役所前から大津市立図書館の移動図書館「さざなみ号」が新しくなって、出発式が行われた。
公募で選ばれた中学生たちの絵で飾られた新しい「さざなみ号」は、車の屋根に天窓もあって、どんよりと暗い日なのに移動図書館の中は、3000冊の本も輝いて見えるほどにピカピカだった。
後ろの扉にも、小学生の描いたマスコットキャラクター『HOOT(ホー)』ちゃんが描かれ、車いすの方もこちらから入ることができる。
中身の本もこれから市民のリクエストに応えて、選書に磨きがかかって、たくさんのいい本に囲まれるようになるといいなぁと思いながら見学させていただいた。
 移動図書館。そういう図書館があることを知ったのは、1985年だったか1986年だったか?県立図書館での当時の県立図書館長前川恒雄氏の『図書館講座』を受講した時だった。
映像でみる『移動図書館ひまわり号』、群がるように集まってくる子どもたちが、手に手に本を持って、ニコニコと順番を待っていたり、友だちや司書さんと話していた。みんなはじけるような笑顔だった。
 私が知っている、それまでの図書館は、かび臭い、勉強の場で、閲覧中心の図書館。本を借りるのも閲覧カードを引いて、司書さんにお願いしてやっと借りられる、なかなかに本を借りるのもハードルの高い図書館だった。
この講座で知った『市民の図書館』、『移動図書館ひまわり号』に出会った時の衝撃と喜びが、図書館利用者となった今に繋がっている。
『図書館の発見』にこのようにある。
「市民は図書館を使って本が読める、情報も入手できる。市民は図書館が手近にあることによって、本を読む市民、情報を求める市民となる。誰にも強制されず自分で学ぶ市民となる。本を読む市民は、ものを考える市民である。社会全体がある方向へ滔々と流れて行こうとする時、立ち止まってこれでいいのかと考えてみる市民である。
 民主主義もそれを土台とする地方自治も、考える市民、情報を得ることのできる市民なしには成立しない。この意味で出版・報道とともに図書館は民主主義・地方自治とその深部において強く結びついているのである。」
《貸し出しを中心とする図書館》の真の意味は、ひとりひとりの市民と向き合うことで、考える市民、自ら学ぶ市民とともにある図書館ということではないだろうか?そのためにこそ中小の図書館があるのではないだろうか。
『移動図書館ひまわり号』より
「今も、雪や雨のなかを、かじかんだ手に息を吹きかけながら、少数でも熱心な市民のために、小さな移動図書館で巡回している人たちがいる。テレビの圧倒的な影響を受け、白けた表情をしている子どもたちを前に、懸命に物語を読んでいる人たちがいる。あらゆる理論や政策は、与えられた使命を果たすために誠実な努力が積み重ねられている、このような目立たない現場から生まれる。しかし、現場に足をおかないあぶくのような理論や提言が、図書館の発展を妨げ、現場の困難をいっそう大きくしている。
『ひまわり号』の時代とは、また社会も大きく変化してきている。あの頃のように子どもたちは群がってやってくることもなくなってきていると思う。それでも、図書館には遠い、ちょっと不便な所の住民にとって、移動図書館はやっぱりありがたい身近な図書館であることに変わりはない。
新しい移動図書館『さざなみ号』が、幼い子の手を引いて待つ若い母親や、車を手放した高齢者の元に、今日も走っているんだなぁと思いを馳せている。