世界の路地裏
路地裏とは魅力的な言葉である。表通りの華やかさや喧騒とは無縁の、生活に密着した落ち着いた狭い通路とそこにあるちょっとした広場を感じさせる。そこでは地域に根付いた人々の日常生活を垣間見ることができる。
と、こう思ったが、ふと「路地」と「路地裏」にどのような違いがあるのだろうか、と疑問が生じた。手許の広辞苑には「路地」は載っているが、「路地裏」はない。路地裏と路地は同じような意味の言葉なのか、路地裏は路地のさらに奥のところを指すのか疑問は残る。
「世界の路地裏100」、「新・世界の路地裏」と題されたピーピーエス通信社の複数の写真家の作品が掲載されているピエ・ブックス発行のこの2冊の本はいずれも縦26.5cm、横16cmの変形であり、写真集の常として重い。そのため扱いにくいこと限りがない。
しかしながらこの縦長の紙面は路地あるいは路地裏の写真にはぴったりである。狭い路地・路地裏にある建物を写すと同時にそれ自体とそこでのいろいろな生活を描くためにはこの縦長の紙面が最適であることを掲載された写真が教えてくれる。
この本は書店ではなくラケットボール仲間との懇親会が開催されたお洒落なレストランで知った。テーブルのすぐ横の棚にこの本が置いてあった。「ディスプレイかな」と思ったがウエイトレスに聞くと手に取ってもよいとのことだったので、食事が提供されるまでの間眺めていた。そのときに出版社名と書名をメモしたという次第。
2冊とも主としてヨーロッパの観光地の旧市街地の路地あるいは路地裏やそこでの生活を切り取っている。私が同じような写真を撮った場所も幾つか含まれていた。
ヨーロッパを旅していると旧市街地と新市街地が整然と区分され、旧市街地はかつて存在したままの姿で残されていることを知る。旧市街地の中に新しく造られたコンクリートの住宅が立ち並んだり、機能的なオフィスビルが建てられる、というようなことはない。
旧市街地では現代の人々も何世代か前の人々と同じように同じ建物に住んでいる。郵便局も銀行も昔ながらの建物の中で業務を行っている。そこにあるカフェも周りの雰囲気を乱すようなことはない。
そこには幾つかの規制があるように聞いたこともあるが、どうだっただろうか。
我が国では、昭和50年の文化財保護法の改正によって伝統的建造物群保存地区の制度が発足し、城下町、宿場町、門前町など全国各地に残る歴史的な集落・町並みの保存が図られている。
現在、重要伝統的建造物群保存地区は100市町村で120地区あり、約29,000件の伝統的建造物が特定され保護されているという。
そしてそこでは建物の外観を変更する場合は厳しい規制をかけていると聞いている。木で造られたこれらの建物が近代化、効率化の波に飲まれ無機質なものに変容することの無いように願っている。
この2冊の本を眺めながら、ヨーロッパではこの景色を何十年後の人たちも現在の私たちと同じように眺めることができるのだろう、と少し羨ましく思った。
と、こう思ったが、ふと「路地」と「路地裏」にどのような違いがあるのだろうか、と疑問が生じた。手許の広辞苑には「路地」は載っているが、「路地裏」はない。路地裏と路地は同じような意味の言葉なのか、路地裏は路地のさらに奥のところを指すのか疑問は残る。
「世界の路地裏100」、「新・世界の路地裏」と題されたピーピーエス通信社の複数の写真家の作品が掲載されているピエ・ブックス発行のこの2冊の本はいずれも縦26.5cm、横16cmの変形であり、写真集の常として重い。そのため扱いにくいこと限りがない。
しかしながらこの縦長の紙面は路地あるいは路地裏の写真にはぴったりである。狭い路地・路地裏にある建物を写すと同時にそれ自体とそこでのいろいろな生活を描くためにはこの縦長の紙面が最適であることを掲載された写真が教えてくれる。
この本は書店ではなくラケットボール仲間との懇親会が開催されたお洒落なレストランで知った。テーブルのすぐ横の棚にこの本が置いてあった。「ディスプレイかな」と思ったがウエイトレスに聞くと手に取ってもよいとのことだったので、食事が提供されるまでの間眺めていた。そのときに出版社名と書名をメモしたという次第。
2冊とも主としてヨーロッパの観光地の旧市街地の路地あるいは路地裏やそこでの生活を切り取っている。私が同じような写真を撮った場所も幾つか含まれていた。
ヨーロッパを旅していると旧市街地と新市街地が整然と区分され、旧市街地はかつて存在したままの姿で残されていることを知る。旧市街地の中に新しく造られたコンクリートの住宅が立ち並んだり、機能的なオフィスビルが建てられる、というようなことはない。
旧市街地では現代の人々も何世代か前の人々と同じように同じ建物に住んでいる。郵便局も銀行も昔ながらの建物の中で業務を行っている。そこにあるカフェも周りの雰囲気を乱すようなことはない。
そこには幾つかの規制があるように聞いたこともあるが、どうだっただろうか。
我が国では、昭和50年の文化財保護法の改正によって伝統的建造物群保存地区の制度が発足し、城下町、宿場町、門前町など全国各地に残る歴史的な集落・町並みの保存が図られている。
現在、重要伝統的建造物群保存地区は100市町村で120地区あり、約29,000件の伝統的建造物が特定され保護されているという。
そしてそこでは建物の外観を変更する場合は厳しい規制をかけていると聞いている。木で造られたこれらの建物が近代化、効率化の波に飲まれ無機質なものに変容することの無いように願っている。
この2冊の本を眺めながら、ヨーロッパではこの景色を何十年後の人たちも現在の私たちと同じように眺めることができるのだろう、と少し羨ましく思った。