男の美学
2020年11月3日のNHKのラジオ深夜便アーカイブス「人間国宝に聞く」で講談師・神田松鯉さんが「男の美学」というテーマで話をされていた。講談でよく出てくる“義侠心”や“恩を忘れない”ということも含め興味深い話だったが、私は変なことが気になっていた。それは「男の美学」という言葉についてだった。
ロマンあふれるこの言葉、「男の美学」が意味するいろんな事柄については、今まで多くの先人が考えるいろいろな内容を読み聞きしていた。そしてそれは直接間接に私の人格形成にも関係していたと思っている。ということでこの言葉は私にとっては好ましい言葉、憧れのフレーズでありこそすれ、それ以外の意味は存在しない。
私が気になったのは「男の」という形容である。なんでもかでも男女平等、性差別を云々する最近の風潮から文句が付けられるのではないか、と外野席から危惧しただけのことである。どうして「男の」美学なのか、なぜ美学は男だけのものなのか、などと非難されそうに思ったという次第。
しかし、坂東眞理子・昭和女子大学総長のベストセラー「女性の品格 装いから生き方まで」(PHP新書)という本もあることだし……と理由にもならない理由を付けてこの問題には深入りしないこととした。
本題に戻る。
神田松鯉さんの話を聞きながら、私は塩野七生さんの菊版の「男たちへ」「再び男たちへ」(いずれも文藝春秋社)と池波正太郎さんの「男の作法」(新潮文庫)、「男のリズム」(角川文庫)を思い出していた。
塩野さんの本は、2冊で600頁を超える堂々たるもので、「フツウの男をフツウでない男にするため」「フツウであることに満足できなくなった男のため」として120の考え方がエッセイの形で提示されている。
その一つ、「装うことの素晴らしさ」の項では「装うとは、着る人間の個性に合ったものであるべきである、という従来の考えに、私はまったく賛成しない。装うとは、着る人間がどのような個性を生きたいかで、決まるものだと私は信じている」と書く。「男が上手に年をとるために」では、10の戦術が楽しく書かれている。その7は優しくあることであり、8は清潔であることである。
池波さんの本からは、正しいお酒の飲み方やちゃんとした店での食事の作法を教わったように思っている。それまででも礼儀正しさや正しい言葉遣いは心掛けていたが、これらについてその本質をそれとなく教えてくれる人はいなかった。
さらに、時間の管理について池波さんからは「余裕を持って生きるということは、時間の余裕を絶えずつくっておくということに他ならない……わかっていることはすべて予定を書き入れて余分な時間を生み出す……そうすることが、つまり人生の余裕をつくることなんだよ」と教わった。
神田松鯉さんの話から、いわゆるハウツー書ではなく、それぞれの世界で一流の人物が、経験から語ったり、書いたりした人生哲学書のことをチラッと思い出したことである。
ロマンあふれるこの言葉、「男の美学」が意味するいろんな事柄については、今まで多くの先人が考えるいろいろな内容を読み聞きしていた。そしてそれは直接間接に私の人格形成にも関係していたと思っている。ということでこの言葉は私にとっては好ましい言葉、憧れのフレーズでありこそすれ、それ以外の意味は存在しない。
私が気になったのは「男の」という形容である。なんでもかでも男女平等、性差別を云々する最近の風潮から文句が付けられるのではないか、と外野席から危惧しただけのことである。どうして「男の」美学なのか、なぜ美学は男だけのものなのか、などと非難されそうに思ったという次第。
しかし、坂東眞理子・昭和女子大学総長のベストセラー「女性の品格 装いから生き方まで」(PHP新書)という本もあることだし……と理由にもならない理由を付けてこの問題には深入りしないこととした。
本題に戻る。
神田松鯉さんの話を聞きながら、私は塩野七生さんの菊版の「男たちへ」「再び男たちへ」(いずれも文藝春秋社)と池波正太郎さんの「男の作法」(新潮文庫)、「男のリズム」(角川文庫)を思い出していた。
塩野さんの本は、2冊で600頁を超える堂々たるもので、「フツウの男をフツウでない男にするため」「フツウであることに満足できなくなった男のため」として120の考え方がエッセイの形で提示されている。
その一つ、「装うことの素晴らしさ」の項では「装うとは、着る人間の個性に合ったものであるべきである、という従来の考えに、私はまったく賛成しない。装うとは、着る人間がどのような個性を生きたいかで、決まるものだと私は信じている」と書く。「男が上手に年をとるために」では、10の戦術が楽しく書かれている。その7は優しくあることであり、8は清潔であることである。
池波さんの本からは、正しいお酒の飲み方やちゃんとした店での食事の作法を教わったように思っている。それまででも礼儀正しさや正しい言葉遣いは心掛けていたが、これらについてその本質をそれとなく教えてくれる人はいなかった。
さらに、時間の管理について池波さんからは「余裕を持って生きるということは、時間の余裕を絶えずつくっておくということに他ならない……わかっていることはすべて予定を書き入れて余分な時間を生み出す……そうすることが、つまり人生の余裕をつくることなんだよ」と教わった。
神田松鯉さんの話から、いわゆるハウツー書ではなく、それぞれの世界で一流の人物が、経験から語ったり、書いたりした人生哲学書のことをチラッと思い出したことである。