リタイアした企業人が書いた本

リタイアした企業人が書いた本

KEI(2021年4月28日)

 私たち写真仲間内では一斉通信する必要がある情報の連絡のためにメーリングリストを使っている。この文章を書いている時点での最新メールの番号は5,939となっていた。
 新型コロナウイルスが大きな問題になっている時期での写真展の開催の是非もこのシステムを使っていろんな観点から議論された。
 あるとき、仲間の一人から彼の友人が書いたという本の紹介が掲載された。このようなことは珍しくない。幅広くいろんな情報を交換しようということで、テーマや内容は各人の常識に任せている。
 著者は全く知らない人物だったが、定年まで勤めあげた企業人がどのような本を書かれたのか、ちょっと興味があり購入した。タイトルは「60歳からの暮しの処方箋」(西 和彦、幻冬舎ルネッサンス新書)というもので、いわゆるハウツー物の範疇の本だった。
 一つのテーマを2頁で書いてあり、その意味では極めて読み易い本だった。「我が意を得た」「全く同感」と感じた幾つかを書き留める。
「通勤とともになくなったもの」の項では、通勤時の電車内での本を読む時間、通勤時に得ていた車内広告や街の風景と人の様子からの雑多な情報のことを書いている。確かに、リタイアしてからは全てが自分の時間であり、読書の時間は大幅に増えたはずだが、読書量は激減した。街がどのように変わっているのかも判らなくなった。
「パソコン、ありがたいけれども悩みのたね」の項では、会社ではパソコンのトラブルはいつも周りの若者がさっと解決してくれた。今まで他人任せであったこれらを自分で解決するためにいろいろ試行錯誤し、問題発生のたびにノートを作っているがそれもあまり役に立たない、とかつての私と同じ悩みを書いている。このことに関しては現在の私は親切かつ有能な友人に恵まれ、何の心配もない。
「困った世代? それともパワフル時代?」と題した項目では、リタイア後はみんなでやるスタイルに慣れること、くだらないと思われる話もすべて終わりまで聞くこと、結論を急がないこと、など自らを省みて合点することの多くが書かれている。
 その他「平日のまちに気づく」「不確かになる時間感覚」と私も気付いていた諸々を具体的に述べている項目もある。
 著者は次の言葉で今までの諸々を締め括る。「『安定した地域との関係の中で、本当の自分の時間』を自信を持って、穏やかに過ごせるようになりたいものです」
 最後に「安定した地域関係」について言及されていることについては、5年間の家族帯同の東京生活、合計15年の東京単身赴任生活はあったものの、人生のほとんどを現在住んでいる地で過ごしている私にとっては、「さもありなん」と思ったことである。