学校図書館と公共図書館の連携

学校図書館と公共図書館の連携

H・T(2019年8月7日)

 一昨年の冬にパブリックコメントを提示された大津市の図書館運営方針の中に
「次代を担う子どもを育む図書館について。
 子どもたちが読書の楽しさに気づき、生涯を通じて本がそばにあるくらしを送ることができるよう、成長段階に応じた読書環境の充実を図ります。また、学校・園との連携を図り、学校図書館充実への支援に努めます」
があった。私は、この項目に興味を持った。連携とは具体的にはどういう活動が出てくるのかと期待しつつ一年半が経とうとしている。しかし、具体的な活動が目に見えてこないことに寂しさを覚えている。もちろん、学校図書館の充実は学校の問題であり、学校の経営方針の中に位置づけられ、公共図書館側が大きく手を差し伸べる難しさはあると思う。
 でも、何かできるのではないか。子どもたちが学校の図書館を大いに活用して、かつ、地域の図書館に足を運んでいくために。
 前に勤務していた学校の取り組みを思い出す。
 学校の教育課程では新しい科目が次々と生まれた。低学年の理科や社会科がなくなり、生活科が出てきた。その数年後に「総合的な学習の時間」も生まれた。これまでの教科書だけの学習でなく、さまざまな視点から調べて学ぶという学習内容に重きを置かれてきた。
 学校にも図書室があり、それ相当な書物も置かれていた。学習課題に対して子どもたちが調べるために、それらの書物を活用した。が、なかなか思うような内容に行き着かないことも多かった。そこで、教師達は、市の図書館司書に連絡して「こういう学習をしているので、それについて調べるための本を選書して欲しい」と依頼した。数日たつと本が段ボールに詰められて、宅配便で送られてきた。決められた幾日かの間に返却しなくてはならなかったが、本の題名・冊数・破損の有無を点検し、宅配便で送り返した。
 それらの書物のおかげで、どれだけ豊かな学びができたことか。
 宅配便の予算は、もちろん市の財政負担であり、学校教育のために公立図書館の司書が尽力することは、学校と図書館を管轄する教育委員会の方針のもとに実行されることであった。学校の教育課程の基での授業は、同じ時期に重なる。「ごめんなさい。他校からも依頼されているので、貴校はこの冊数でお願いします」とよく電話がかかってきた。つまり、どの学校も図書館を活用していたということである。
 こういう取り組みで、学校と市の図書館の距離がぐんと縮まった。教師達の感想の中に「この本を司書さん選んでくれたわ。私では、とても選びそうにないわ」というのがあった。「司書の〇〇さんすごいわ。また、今度も頼もう」と司書の力を尊敬する声もたびたび聞かれた。司書の〇〇さんと名前を覚えることにも繋がった。もっと知りたいために、市の図書館に行く子どもたちも増えた。
 学校と図書館の連携と言うと「小学3年生が図書館見学にやってきます」とよく言われる。それは、日本全国、どこでもの取り組みである。それ以上の創意ある取り組みを期待している。
「お金がないから、そんなことできないわ」という声が聞こえそうだ。お金がなくたっててきること。
「〇〇小学校の…です。こういう本を使いたい。選書よろしく。取りに伺います」「図書館です。貴校の総合学習は、こういう内容ですよね。本が何冊かありますから、どうぞ。子どもたちに宣伝よろしく」というようなキャッチボールがあってもいいのではないだろうか。
 そしたら、きっと子どもたちは刺激を受けて、市の図書館に足を運ぶに違いないから。