図書館の風景

図書館の風景

さくらこ(2015年11月11日)

 どんな図書館にも顔がある。最近建設された図書館はまるで書店のようだ。今よりずっと若かりし頃は、図書館と関わってきたことから、旅をするとその町(街)の図書館に立ち寄った。図書館関係者で知り合いになった方と再会してお話することも楽しみだが、何よりもその方がどんな風に働いているかをこっそり窺うことも大いに勉強になった。書架の配列、カウンター周り、職員の動き、利用者の様子、蔵書構成、その中でも参考書の種類は特に気になった。小さな図書館ほど参考書が少ない。いつも図書館にこそ様々な参考書を置くべきだと思っている。
 さて、ここしばらくそういった旅をすることができなかったのだが、今年の夏、いつも利用している家から一番近い図書館で微笑ましい父子に出会った。ちょっと、紹介する。
 お父さんと小学1、2年生位の男の子が1冊の本を見ながらこんな会話をしていた。
「くどいおかあさん」
と子どもが声を出して読む。すると、お父さんが
「くどくど言うおかあさんってわかる?」
「うん、うちのかあさんは言わないね」
「そうだね」
「よそよそしいかあさんって?」
「そうだな~ほら、知っていても知らんぷりしているようなことあるだろう、そんなことだよ」
「ふ~ん、そうなんだ」
「さびしいおかあさん」
「そうだな、とってもつらいことがあったとき、かなしそうな顔するだろう、そんなときの感じかな」
「じゃ、今度は『どんなおとうさん』を読もうか」
「あっ!悔しいおとうさんって、この間僕とはさみ将棋
していた時のおとうさんの顔に似ているよ」
「そうか?」
 こんな風に父子が五味太郎の『ことばがいっぱい 言葉図鑑』を読んでいる姿に遭遇した。私は絵本講習会参加の事前調べに図書館に行っていて、子どもの座る椅子で山のような絵本を読みながら彼等の会話と様子を盗み見ていたわけだが、時にお父さんが説明に困り、いろんな言葉で子どもに説明している姿や、子供の楽しそうな顔を見て、時々は声に出して笑いたくなるのを堪え、時々はその父子の姿に愛おしささえ感じて微笑みかけた。
 図書館の風景はいろいろあるが、こんな父子の姿は実に微笑ましい。
 図書館施設は外見も良いものに超したことはないが公立図書館は身近で利用したい人がそこで気持ち良く楽しむことができ、そこに住む人々に役に立つ図書館であって欲しいと思う。