恩送り
三井住友信託銀行が発行している宣伝リーフレットに掲載されていた「わたし遺産」の受賞作品によって“恩送り”という言葉を知った。“恩返し”は知っているが“恩送り”は知らなかった。恩を受けた人に直接返すのは“恩返し”、受けた恩を周りの誰かに送るというのが“恩送り”だそうだ。
受賞作品の作者の母は作者に「だけん、返したらそいで終わるじゃなかね」と言い、作者は「恩は次の人に送れば終わらない」と書いている。確かに受けた恩を返したら、それで終わる。しかし、受けた恩を他人に送り、恩を送られた人がさらに別の人に送るなら、恩は永遠に続く。“恩送り”は、ある意味“恩返し”よりも深い意味を持つようだ。
幾つかの“恩送り”に気が付いた。 芸能の世界で師匠が内弟子として衣食住の面倒を見て若者を育てる、育てられた弟子が同じようにしてその後輩を育てる、これは“恩送り”に違いない。この話から思い出したのだが、サラリーマン生活の頃に個人的に後輩と飲食をしたときには、先輩が私にして下さったように後輩の代金を私が当然のこととして負担していた。小さいことだがこれも先輩から受けた恩を後輩に送ったことになるのだろう。
阪神淡路大震災で被災し、多くの助けを受けた人たちが、東日本大震災の被災地に手を差し伸べたのは、まさに“恩送り”といえる。 1890 年の和歌山県大島島民による「トルコ・エルトゥールル号遭難者救出」と 1985 年イラン・イラク戦争時の「トルコ航空機による日本人救出」は世代を経、国境を越えた“恩送り”と言えるかもしれない。
老齢になって初めて“恩送り“という言葉を知ることになったのは恥ずかしいが、よい言葉を知ったと嬉しく思っている。私自身は気が付いていない多くの恩を、先人から受けている筈である。これからは意識して恩を送ろうと考えたことである。
英語圏の国では“Pay it forward”という考えがあるそうだ。詳しいことは知らずちょっとものの本で読んだ程度の知識しか持たないが、現在ではこれも“恩送り“に違いないと思っている。 と、ここまで書いて“Pay it forward”と言う言葉をもう少し詳しく知ろうとインターネット検索をすると、このフレーズの初出( 1916 年の出版物にあるそうだ)についての説明や 2002 年に角川書店から発行された「ペイ・フォワード」(キャサリン・ライアン・ハイド著、法村里絵訳)という小説についての記述が表れた。
ちょっと気になったのでこの小説を図書館から借り出し、読んだ。こなれた訳による軽い文体の本だった。
この本では、 12 歳の少年が「3人の知人に何かいいこと」をする。自分に対するお返しの代わりには「3人の他人に何かいいことをして欲しい」という。これも恩送りだろう。
そしてこの恩送りを続けてゆくと、世の中が変わるかも知れない、いや変わりそうな気がする。
受賞作品の作者の母は作者に「だけん、返したらそいで終わるじゃなかね」と言い、作者は「恩は次の人に送れば終わらない」と書いている。確かに受けた恩を返したら、それで終わる。しかし、受けた恩を他人に送り、恩を送られた人がさらに別の人に送るなら、恩は永遠に続く。“恩送り”は、ある意味“恩返し”よりも深い意味を持つようだ。
幾つかの“恩送り”に気が付いた。 芸能の世界で師匠が内弟子として衣食住の面倒を見て若者を育てる、育てられた弟子が同じようにしてその後輩を育てる、これは“恩送り”に違いない。この話から思い出したのだが、サラリーマン生活の頃に個人的に後輩と飲食をしたときには、先輩が私にして下さったように後輩の代金を私が当然のこととして負担していた。小さいことだがこれも先輩から受けた恩を後輩に送ったことになるのだろう。
阪神淡路大震災で被災し、多くの助けを受けた人たちが、東日本大震災の被災地に手を差し伸べたのは、まさに“恩送り”といえる。 1890 年の和歌山県大島島民による「トルコ・エルトゥールル号遭難者救出」と 1985 年イラン・イラク戦争時の「トルコ航空機による日本人救出」は世代を経、国境を越えた“恩送り”と言えるかもしれない。
老齢になって初めて“恩送り“という言葉を知ることになったのは恥ずかしいが、よい言葉を知ったと嬉しく思っている。私自身は気が付いていない多くの恩を、先人から受けている筈である。これからは意識して恩を送ろうと考えたことである。
英語圏の国では“Pay it forward”という考えがあるそうだ。詳しいことは知らずちょっとものの本で読んだ程度の知識しか持たないが、現在ではこれも“恩送り“に違いないと思っている。 と、ここまで書いて“Pay it forward”と言う言葉をもう少し詳しく知ろうとインターネット検索をすると、このフレーズの初出( 1916 年の出版物にあるそうだ)についての説明や 2002 年に角川書店から発行された「ペイ・フォワード」(キャサリン・ライアン・ハイド著、法村里絵訳)という小説についての記述が表れた。
ちょっと気になったのでこの小説を図書館から借り出し、読んだ。こなれた訳による軽い文体の本だった。
この本では、 12 歳の少年が「3人の知人に何かいいこと」をする。自分に対するお返しの代わりには「3人の他人に何かいいことをして欲しい」という。これも恩送りだろう。
そしてこの恩送りを続けてゆくと、世の中が変わるかも知れない、いや変わりそうな気がする。