図書館はどこへ行く

図書館はどこへ行く

KEI(2017年12月13日)

 高度情報通信ネットワークが構築された現代社会において、紙媒体主体の図書館はどうなるのだろうか、また電子情報との関係では図書館はどのようなことが期待されることになるのだろうか。
 現代では各家庭にパソコンが置かれ、言葉の壁はあるものの自由に世界のあらゆるところから情報を入手できるようになっている。それでも紙媒体資料は従来と同様に意味を持ち続けることは間違いない。
 こう思いつつも「図書館はこれからどうなるのか」が気になる。ちょっと勉強してみようと思った。
 図書館へ行き、基本書と思われる図書館概論と銘うった3冊を借り出した。本来なら借りてきた3冊全てを通読すべきだろうが、ちょっと荷が重い。そこで司書さんに選んでもらった1冊だけを通読し、後の2冊は「図書館とインターネットを通じて得られる電子情報」について、議論、解説されている部分を中心に読むこととした。
 3冊の中の1冊に、現代の図書館は“ハイブリッド・ライブラリー”であると説明する文章があった。その概念は「伝統的な紙媒体資料を擁する従来の図書館の部分とサイバースペースにつながる電子図書館の部分を併せ持つ図書館」を意味するようだ。
 そこでは、“ハイブリッド・ライブラリー”について「得られる情報の範囲を拡大し、情報アクセスの可能性が飛躍的に広がることは確かである。しかしそれは本質的な違いではあるまい。むしろそうした変化を質的な発展に導く技術運用の視点の確立こそが当面する重要課題である」と述べられている。「質的な発展」の意味は不明ながら、これら電子情報についても図書館利用者にとっては紙媒体資料と異なる意味を持つはずはなく、「知識、文化の収集と伝達」の対象と考え、技術運用を含め必要な対応をすべきと言っているのだろう。
 これら3冊と併せて文部科学省のホームページで関連する資料を読んだ。そこでは「社会の変化と図書館の現状」「これからの図書館の在り方」「これからの図書館サービス実現のために必要な取組」などについての議論が紹介されていた。
 そこでの議論の中で、「図書館の基本的在り方」として「様々な出版物を収集・保存し,様々なサービスを通じてすべての人々に提供する図書館の基本的役割は今後も変わらない。これに加えて,インターネット等の電子情報へのアクセスを提供するとともに,電子情報を発信あるいは保存することもこれからの図書館の役割である」とあったのには共感を覚えた。“ハイブリッド・ライブラリー”という言葉を具体的に説明すればこのようになるのだろう。
 これらについて勉強している間に、将来の図書館像について、ある1冊にちょっと気になる2つの提言というか意見が書かれているのに気が付いた。
 その一つは、従来「多くの図書館では利用者の中心が児童、主婦、高齢者となる傾向が強かった」とし、「近い将来図書館として主たる対象とすべき利用者は、30代から50代の働き盛りの市民ではないだろうか。人口の割合も多く、最も多忙で最も人生の課題をかかえた世代を対象とした『大人の図書館』への脱皮である」と述べていた。
 この「『大人の図書館』への脱皮」にはちょっと疑問というか違和感を覚えた。各地の公立図書館で実務を担当していらっしゃる多くの司書・図書館職員の方々や現在「利用者の中心」と目されている皆さんはどのように考えられるか、ご意見を伺いたいものだと思ったことである。
 二つ目は、この文章に続いて、図書館の「課題解決型サービス」について触れ、提供すべきサービスとして、ビジネス支援サービス、医療情報サービス、法律情報サービス、行政支援サービスなどを説明していたことである。これらの趣旨は理解できなくもないが、これら広範囲のサービス自体を図書館が提供するのは少し荷が重いのではないか、端緒というか調査や情報の手掛かりを提供する程度のサービスこそが期待されているのではないか、と感じたことである。
 以上、図書館概論3冊を摘み食いし、文部科学省の「図書館の基本的在り方」報告を眺めた素人の感想である。
 私が図書館という存在を知ってからでも半世紀以上の年月が経過している。その間、多くの先人の努力により図書館自体やその利用・活用について進歩があり、改善がなされてきた。現在は「“高度情報通信ネットワークが構築された現代社会”における図書館の在り方」について考えるべき時期なのだろう。