またまたフェルメール

またまたフェルメール

啓(2023年3月1日)

 1回でも利用すると通信販売会社からはその後は継続的にかなり分厚いカタログが送られてくる。旅行代理店からの案内も同じである。現在我が家宛にはそれぞれ3社からの送付がある。無駄だなあと思う反面、結果的には効率的な営業なのだろうと結論付けるのは長いサラリーマン生活の性か。
「もう海外旅行をすることもないなあ」と思いながら、送られてきた海外旅行パンフレットを眺めていたら、オランダ旅行の旅程の中に、アムステルダム国立美術館で開催される「過去最大のヨハネス・フェルメール展」を訪れる日程が組まれているのに気が付いた。
 このときまで、私はこの美術展について一切知らなかった。インターネットで調べると 2023 年2月10日から6月4日にかけて28点の作品が展示されるという。現存する作品の数が30数点と言われていることを考えると、フェルメール・ファンにとっては見逃せない展覧会であろう。
 フェルメールの全作品を見るために世界各地の美術館を訪れるという各国の熱狂的なフェルメール・ファンの存在は何かで読んで知っていた。その中には「フェルメールの全作品を見る」ことを目的に旅をしたジャーナリストの朽木ゆり子さん(「フェルメール全点踏破の旅」(集英社新書))や作家の有吉玉青さん(「36作品への旅 恋するフェルメール」(白水社))もいらっしゃる。
 これらの人々にとってもこの展覧会は見逃せないものだろう。
 時間とお金があっても世界中にあるフェルメール作品を全て見ることはそう簡単なことではない。個人所蔵の作品もあり(これは展覧会に貸し出されるのを待つしかない)、美術館所蔵作品であっても他館に貸し出されている場合(私がルーブル美術館を訪れたときには本来「レースを編む女」が掛かっているべき壁面は空白だった)もある。さらには英国王室コレクションの「音楽の稽古」は、現在はどうなっているのかは知らないが、かつてはエリザベス女王が宮殿を留守にされる7月末から9月中旬までしか見ることができなかった。それに盗難に遭い現在行方不明の絵も1点ある。
 事実、朽木ゆり子さんは、最初の旅行では事前に慎重に調査したにも拘らず全点踏破はかなわず、3点を見ることはできなかった。有吉玉青さんは 1990 年10月から 2006 年7月まで9回の旅行と東京(上野)と大阪の展覧会で「現在みられる35点を見るに至った」が、「それを所蔵する美術館を訪ねるという意味では未だ……に行っていない」と書いている。
 このようなことを考えると、一つの展覧会で 28 点の作品を見ることができるというのは稀有の機会だろう。世界中から多くのフェルメール・ファンが訪れることは想像に難くない。
 現在展示作品リストとして公表されているのは28点だが、格別の留保がなされていないところを見ると展示替えはなく、全期間に亘って全28点が展示されるのだろう。
 どのような作品が展示され、それらを私たち夫婦がどこかの美術館や展覧会で見たか否かをチェックしてみた。私たち夫婦が国内外で見た作品は21点あった。残りの7点については1点を除き全てアメリカの美術館の所蔵作品である。これらの将来の国内展での展示を期待しよう。