移動図書館ミッケル号(2)

移動図書館ミッケル号(2)

H・T(2021年2月24日)

 さあ。次のステーション「木戸小学校」だ。僕の住んでいる和邇図書館は、大津市と合併する前に「滋賀県文化振興策」の一つとして建てられた。比良山系を望む図書館で有名だ。何と、いつの頃からかツバメが巣を作り出して、ツバメが来る図書館ともなった。
 建物もかっこいい。「第25回中部建築賞 入賞」.という賞を貰った建物だそうで湖西線の電車から見るとその建物のかっこ良さが分かる。全体に曲線を描いていて屋根の上に灯りを取り込む丸い窓がある。ステンドグラスも使ってある。
 その僕の図書館の建物にどこか似ているのが木戸小学校だ。瓦屋根の学校は珍しい。その屋根の上にかっこいい時計台がある。前の学校は小さかったので広くしたい、お洒落にしたいとの願いがあったようだ。これも志賀町時代に建てられたとのことだ。志賀町の人たちは、琵琶湖や比良山系に合う建物を建てたんだなぁと思う。
 さあ、木戸小学校へ到着。えーとこの時間は子どもたちは何の勉強かな?
 たった20分の時間に子どもたちが僕のまわりに並ぶのはできっこない。そこで、先生達が工夫したんだって。
 それぞれのクラス用にコンテナーボックスがあって、そこに司書のおばちゃんが用意した本が入っている。そのコンテナーを僕の背中から取りだして渡す仕組みだ。
 貸し出しカードは担任の先生のカード利用。そのコンテナーが学級文庫になるって仕組み。読み終わったら隣のクラスと交換。学級文庫が時には学年文庫になるってわけだ。
 隔週、こうやって何百冊の本が木戸小学校に届けられ交換される。つまり、和邇図書館の「分館」のようになるって仕組みだ。ここの子どもたちは、僕のいる和邇図書館までは電車に乗って、そして歩いてだからなかなか通えない。だけどこうやって、本を読んでくれているんだ。時には、授業で使う本のリクエストも司書さんに届くそうだ。
「二年生でたんぽぽの勉強をします。選んでください」「宮沢賢治を勉強します。学校にはあまりないので、選んでください」「平和学習をしますからよろしく」こんな時は司書さんの力の見せ所。何せ、司書さんは「本のことをいっぱい勉強している図書館の専門職」だからね。
 そういう先生の要望を受けて司書さんが選ぶ本を僕が運んでいるということだ。
 図書館にやってくる利用者団体の人が言った。
「ミッケル。あのね。大津市の図書館の運営方針の中にね『次代を担う子どもを育む図書館。子どもたちが読書の楽しさに気づき、生涯を通じて本がそばにあるくらしを送ることができるよう、成長段階に応じた読書環境の充実を図ります。また、学校・園との連携を図り、学校図書館充実への支援に努めます』ってあるのよ。ミッケルは、その仕事をしている立役者ね。つまりね学校と公立図書館を繋いでいるの。ずっとがんばってね」
 そうか、そんな大事な仕事をしているんだ。うん。がんばるよ。でも大分老いぼれちゃってね。エンジンの音もブルールン。隣の図書館の「さざなみ号」はピッカピッカの新しい車になったそうだ。いつか、新しくなって新ミッケル号になるまでがんばらなきゃ。
「ミッケルまたね」子どもたちが手を振ってくれている。さあ、次のステーションに出発だ。
 ところで、何で「ミッケル号」?それは「図書館で本を見つけましょう。たくさん読みましょう。本で知恵や工夫を見つけましょう」ということなんだって。名前を付けるときにいろいろ工夫したらしい。僕は「ミッケル」気に入ってるよ。名付けてくれてありがとう。