あの本、読みました?

あの本、読みました?

麻(2024年12月18日)

「あの本、読みました?」とはドキッとさせられる言葉です。しかし、最近はこのような言葉を聞く機会も少なくなりました。
 この言葉をタイトルにした番組が毎週木曜日午後 10 時に BS テレビ東京で放映されています。読書好きな視聴者をターゲットにした番組でしょう。今年の4月に始まったようですが、最近では録画をして視聴しています。進行役は俳優の鈴木保奈美さん(読書好きと知られているそうです)とテレビ東京のアナウンサー角谷暁子さん(彼女も本が好きのようです)で、ゲストとして作家自身や編集者、校閲者、装丁者、宣伝担当者、書店員など本の周りに存在する数多くの仕事を担っている人たちが出演し、著書や書物に纏わる多くのことを熱く語っています。

 校閲者が出演していた回では、校閲という仕事の説明として「例えば作者が 2014 年のこととして書いている話の中で『東京在の主人公が北陸新幹線に乗って金沢に旅した』趣旨の文章があれば、『北陸新幹線が開通したのは 2015 年ですので、再考いただけませんか』と言う」というような興味深い話がありました。漠然と思っていた校閲と校正との違いについても正確な知識を得ることができました。

 直木賞受賞作家一穂ミチさんが出演されていた直近の回では書店員が作成する手書きのポップ広告(point of purchase advertising)が取り上げられていました。ポップは「書店員の思いを伝える一種のラブレター」だそうです。私はこの種の広告により本を買ったことはありませんが、その巧拙がある本の売り上げに影響を及ぼした(売り場面積の小さい支店がそこでのポップにより大きな売り場面積を持つ本店の販売冊数を上回った)ことが具体的な数字で説明されており、その効果に驚きつつ、その当事者であるポップ作成者の裏話を聞いていました。

 鈴木保奈美さんの「あの本、読みました?」に対する答えとして、図書館の予約システムから一穂ミホさんの直木賞受賞作「ツミデミック」を予約しましたが、予約完了画面では「所蔵数10、確保待ち (313位)」とありました。忘れた頃に連絡があるでしょう。
 ちなみにこの本のポップは「あたしの声は、届かない――曖昧すぎる生と死の狭間で希望の光は灯るのか?人間の奥底に眠っていた感情を呼び覚まし、狂気と生気が葛藤する舞台を目の当たりに出来るスリリングな一冊だ!!」(男性書店員)「未来の人たちがもしコロナやパンデミックを繙くなら、新聞やネットではなく、この小説を読んで欲しい……」(女性書店員)でした。